月が綺麗ですね(1)【石橋遼大】 (ページ23)

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「今日はお誘いいただいて、ありがとうございます」

石橋「いえ、こちらこそ、ありがとうございます」

色々考えすぎてしまい、意識半ばで見ていた映画が終わり、

石橋さんが予約してくださってたお店で食事。

後藤さんと同じように、お仕事終わりに来てくださってるので、

本当に申し訳ない。

石橋「映画、面白かったですね」

「本当ですか？無理やり誘ったような感じだったので、

　好みに合うか不安だったんですよ。」

と、今日のお話が一通り終わると、

沈黙が流れてしまった。

沈黙の破り方を知らない私は、

ただ時が流れるのを待つしかなかった。

石橋「……失礼だったら申し訳ないんですけど、Aさんって、拓実のこと好きなんですよね」

何分経った頃だろう。

石橋さんが口を開くと、突拍子もないことを聞いてきた。

「え？まあ、はい、そう、だと思います…」

石橋「あの、僕頑張るので、たまには、僕のことも、思い出してください」

そう言い切ると、石橋さんの白い肌は赤く染まっていた。

「もちろんですよ、頑張らなくても思い出します」

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