第30話 ページ33
俺は今度は素早さで攻撃を仕掛けることにした。マチェットの軽さを利用し、素手の型で間髪入れずに2本のマチェット逆手に持って切り刻むように近距離戦を仕掛ける。
グルッペンはそれを半身で避けたり弾いたりするが、だんだん間に合わなくなり、後ろに大きく飛びずさる。
俺はすかさず地面を蹴って距離を縮めようとする。
一方グルッペンはその場に立ち止まっていた。俺は嫌な予感がしてグルッペンから距離を取る。
A「…」
グルッペンはその場から動かず不敵な笑みをこちらに向けている。
どこをどう狙うべきか…本当の目的を悟られないように行動しなければならない。
俺は未だに動かないグルッペンに疑念を抱く。いくら距離があるといえども、流石に隙がありすぎる。この場合カウンターかトラップを警戒した方がいいだろう。
グルッペン「ところで…」
口を開いたのと同時に俺はグルッペンとの距離を縮める。小細工が効かない相手ならば、正面から向かった方がいいだろうと判断したからだ。
グルッペンは避けずに俺のマチェットを弾く予備動作をする。それを予測していた俺はあえてマチェットをブーメランの要領でグルッペンめがけて投げた。
グルッペンはマチェットの柄を掴んでそれを止める。俺はその隙に懐へと潜り込んで、グルッペンの首あたりを右手で掴んで押し込み、足を払う。
グルッペンは体勢を崩し、俺はその上に覆い被さる形になった。
その間に取り出したハンドガンMARKをグルッペンの首に当てる。顔ではまだ避けられる可能性があったからだ。すぐに撃てるように引き金に手を当てておく。
グルッペン「何故殺さない？」
A「撃ったら避けるだろうが、この体勢では動かないんだろ？」
グルッペンは降参だというようにマチェット2本をその手から離し、手を地面につける。
グルッペン「あー、もう少し楽しめると思ったんだがな、ところで、この後どうするんだ？」
A「作戦が成功すれば直に皆来る。それまで待機だ。」
グルッペン「そうか…」
グルッペン「負けたのか、悔しいなぁ」
グルッペンは負けたのにその顔から笑みをこぼした。それはどこか満足気であり、寂し気だった。
俺はその表情に困惑したが、今は気にしないことにした。いつこの状態から脱却する術を思いつき実行するかわからない。警戒しておくに越したことはないだろう。
静かになったこの森には鳥のさえずりが響き始めた。
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R2KD(プロフ) - お菊さん» コメントありがとうございます！楽しんでもらえて嬉しい限りです！ご精読ありがとうございました！ (2019年7月29日 18時) (
レス) id: d53d7e484c (このIDを非表示/違反報告)
お菊(プロフ) - 完結おめでとうございます！とても楽しく読まさせて頂きました！お疲れ様でした(*^^*) (2019年7月28日 10時) (レス) id: 713a645346 (このIDを非表示/違反報告)
R2KD(プロフ) - Верныйさん» コメントありがとうございます！細かいご感想をいただき至極の極みです…前線指揮は一番力を注いだところでもあるので、注目してもらえてとても嬉しいです！ (2019年7月23日 19時) (レス) id: d53d7e484c (このIDを非表示/違反報告)
Верный(プロフ) - 戦闘描写、特に主人公の前線指揮がかっこよくて好きです。あとあとセリフ回しがとても上手くて大好きです。これからも応援しています、素晴らしい作品をありがとうございます。 (2019年7月16日 21時) (レス) id: 982a621621 (このIDを非表示/違反報告)
R2KD(プロフ) - かなとさん» ご報告ありがとうございます！！ (2019年7月14日 19時) (レス) id: d53d7e484c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：R2KD | 作成日時：2019年7月14日 18時
