第26話 ページ29
ーーーー前線(エーミールside)
朝から激しい攻防戦を繰り広げている戦場は、泥と血と硝煙が混ざった匂いでむせ返っていた。
歩兵同士の陸上戦は乱戦と化し、時折スナイパーに撃たれて仰け反る人もいる。
戦車も互いに咆哮と共に鉄の塊を放つ。
冬を迎えようとしているはずの天気なのに、戦場はすさまじい熱気を放っていた。
エーミール「お互いに手詰まりですね…」
後方の戦場がよく見える高台にあるトーチカから全体を見渡すが、やはりこの国境の大きな川を挟んで膠着してしまっている。
Aの言う通りなら今日の昼頃に攻撃を開始するはずなのだが、未だにAが来る気配はない。
自分も前線に参加したいのだが、スナイパーからの射撃を防げて、各部へその都度指令を出せる人はここにはショッピさんと自分以外おらず、ショッピさんは各地の制空権を確保するため奔走している。
指揮系統の乱れは軍の乱れ、自分がここにいることは必要なことなのだと自分に言い聞かせて目を背けたくなるような戦場を再び細かく観察する。
しばらくすると、無線にノイズが走る。
A「陸軍大臣Aです。あと10分で到着します。そちらの現状を教えてください」
エーミール「了解。今はAさんの作戦通りに進んでいます。」
A「ありがとうございます。あと、エーミールさん、敬語が癖になってるとはいえ目下の人に敬語なんて…」
エーミール「善処しま…善処する。」
A「はい。それでは総攻撃についての作戦の旨を今から話しますね」
無線の向こうから走行音とともにAの透き通った声で作戦概要を話された。
A「あと、この無線が傍受されていないとは限らないので暗号を使います。作戦コード02です。」
エーミール「作戦コード02！？」
思わず反復してしまう。作戦コード02ということは、幹部全員出撃である。Aは作戦を一回トントンに通しているのだから、トントンも承諾しているだろう。
エーミール「…いや、それでいこう。了解した。」
幹部全員出撃は別方面からの侵攻を考えるとかなり危険である。侵攻される心配がないのか、それとも…考えるとキリがないが、今までのAの功績を考えて承諾することにした。
A「ありがとうございます。それではまた」
エーミール「ああ、それでは。」
無線がプツッと音を立てて消える。戦況は良好。ちょうどgr国侵攻の波を防ぎきり、gr国第一攻撃隊とtn国第一攻撃隊が撤退した。
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R2KD(プロフ) - お菊さん» コメントありがとうございます！楽しんでもらえて嬉しい限りです！ご精読ありがとうございました！ (2019年7月29日 18時) (
レス) id: d53d7e484c (このIDを非表示/違反報告)
お菊(プロフ) - 完結おめでとうございます！とても楽しく読まさせて頂きました！お疲れ様でした(*^^*) (2019年7月28日 10時) (レス) id: 713a645346 (このIDを非表示/違反報告)
R2KD(プロフ) - Верныйさん» コメントありがとうございます！細かいご感想をいただき至極の極みです…前線指揮は一番力を注いだところでもあるので、注目してもらえてとても嬉しいです！ (2019年7月23日 19時) (レス) id: d53d7e484c (このIDを非表示/違反報告)
Верный(プロフ) - 戦闘描写、特に主人公の前線指揮がかっこよくて好きです。あとあとセリフ回しがとても上手くて大好きです。これからも応援しています、素晴らしい作品をありがとうございます。 (2019年7月16日 21時) (レス) id: 982a621621 (このIDを非表示/違反報告)
R2KD(プロフ) - かなとさん» ご報告ありがとうございます！！ (2019年7月14日 19時) (レス) id: d53d7e484c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：R2KD | 作成日時：2019年7月14日 18時
