FAKE or REAL 2

EP2-3 ページ3

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広臣 --字は女の子だよなぁ……
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１年振りに開いた手紙。
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皺だらけで、所々文字が滲んでる。
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当然だ。
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止めどなく涙を落としてしまったから。
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ー
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臣、先ずは謝らせて？
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ごめんなさい。
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笑顔で別れる自信がなくて……
だけど、笑顔で別れたかったの。
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だって楽しかったから。
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幾度伝えても、決して伝え切れない程に感謝してるから。
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臣との出逢いが人生最大の幸運で
臣と過ごした時間が生涯の宝物だと確信してるから。
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なにより、すごく幸せだったから。
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本当に本当に幸せでした。
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ありがとう。
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臣との全てを両手でしっかりと抱えて
臣が与えてくれた道を精一杯歩んでみます。
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過去に負けない今を生きれるように。
過去に負けない強さを手に入れられるように。
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だから、臣も輝き続けてね？
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でも呉々も体には気をつけて、時には休んでね？
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登坂広臣の夢がひとつでも多く叶うこと。
そして幸せで在ることを、この世の誰よりも願ってます。
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どうか元気で。
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心からの感謝を込めて、……
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広臣 --はぁ………だめだっ……
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またひとつ、文字が滲んだ。
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正確には消しゴムで消された微かな跡が……
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《大女》
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１年前も今も何を書こうとしたのかなんて、考える必要が無いくらい
存在しない文字が俺にはハッキリ見える。
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もっと言うなら、アイツがどんな顔で消したのかも……
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広臣 --っ、…俺も…大好きだよ……A…
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モチロン、この手紙を読んですぐにLAのスクールに電話を掛けた。
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けど、アイツは居なかった。
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意味がわからなくて
何度も名前を伝える俺に担当者が言った。
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ー留学先を変更したと聞いてる。
詳しいことは話せない、それが彼女の願いらしいから。
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