FAKE or REAL 2

EP2-12 ページ12

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それから数日後。
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Aは退職願を手にHIROさんの元を訪ねたらしい。
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ー手遅れになる前に辞めさせてください。
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世間に自分の存在がバレる前に。
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父親が会社や俺に迷惑を掛ける前に。
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そういう意味合いで発した言葉だろう…
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俺にはあんな風に言ってたのに。
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ーお世話になった先輩がお店を出したのよ。
どうしても手伝って欲しいって、断れなかった。
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HIRO --全く迷ってなかったよ、たぶんあの時点で既に覚悟を決めてたんじゃないかな？
お前と別れることも周りと離れることも留学も、今に繋がる全てに。
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広臣 --アイツの性格上そうかもしれません。
いい事も悪い事も運命を感じたら受け入れてしまう節があるので、…
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HIRO --うん。確かにそんなような事を言ってたよ。
これもまた運命かもしれない、神様が傍に居る事を許してない気がするって。
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広臣 --やっぱり……
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HIRO --だけど登坂との出逢いも運命だと思ってるって言ってたよ？
だからこそ、全てを受け入れられるんだって。
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広臣 --え？
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HIRO --お前と出逢ってから、本当にたくさん戸惑ったらしい。
理解出来ないと思ったことも多々にある、でも何故かいつも心が動かされて流れに身を任せてきたし
その結果自分はとても幸せだった、この上なく幸せだった。
だから、最後まで抗うことなく進んでみようと思うって。
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広臣 --…………
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HIRO --だとしても、登坂に相談した方がいいって言ったんだけどね…
光らせる為？にウチに来たからそれは出来ないとかなんとかって……意思は全くブレなかった。
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広臣 --………泣いてましたか？
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HIRO --ん？いや、いつも通りだったよ？
あの、強さと優しさが滲み出てる素敵な瞳をしてた。
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ー月を光らせてみない？
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ーこうして出逢ったのも、何かの運命だと思うよ？
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スカウトした時に冗談半分で言った言葉。
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アイツにとっては
重要な言葉だったんだと、たった今わかった。
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そんな風に心に刻んでくれてると知ってたら……
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こんな風に大切な存在になるとわかってたら……
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もっとちゃんと伝えてた。
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”ずっと側に居てくれ”
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”何があっても離れるな”
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やっぱり言葉が足りない。
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俺も、アイツも。
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