PRINCESS IS BACK ３

EP3-42 ページ42

どんなに忙しくても
どんなに大変でも

妹の喜ばせる為なら
時間も手間も全く惜しまないのが
登坂の凄いところ。


今みたいな
日々の些細な事から
人生の大一番とも言える
大きな出来事まで

仕掛けたサプライズを
全て振り返るなんて
もはや、不可能に近い。

その中でも、俺は
プロポーズが印象深い。


皆、覚えてっかな？









ー皆さんが大切に思ってる歌姫に
プロポーズする事を認めて貰えませんか？









心底、ファンを大切にする妹の為に
登坂が大きな舞台で
深く頭を下げた、あの日の事を。









ー大事な話があるので
時間、、貰えませんか、、って、、え！
え？遂に下さい的なやつ来ちゃった？









いつも穏やかなHIROさんが
スマホ片手に
珍しく、アタフタしたのは
今から数年前の3月下旬。

馴染みの店で
ATSUSHIさんと三人で
グラスを傾けてる時だった。









ーあれは予約だったらしいですから
間違いなく、下さい的なやつでしょうね〜









頭を抱えてしまったHIROさんを
笑いながら
ATSUSHIさんは言った。


この【予約】って言葉が指してるのは
歌姫復活パーティーの時の事。

周りは皆、あの時のやり取りを
プロポーズだと思ってたけど
本人達の中では
そうじゃなかったらしく
改めて、プロポーズ大作戦が始まったって訳。









ーマジかよ、、俺やだよぉ〜
いや！嫌じゃないけどさ〜、えぇ、嫁行くのぉ？









俺が言うのものおかしいけど
HIROさんのAへの愛は
深いというか、少し度を超えてる所がある。

とっくに立派な大人なのに
幼い女の子に接するかのような感じで
過保護だったり、デレデレだったり。

ま、仕事の面で
厳しすぎる位、厳しいから
その反動もあるんだろうけどね？









ー嫁にはやらんっ！絶対やらんっ！









頭を抱えていたと思ったら
凄まじいスピードで酒を流し込み
最終的には、そんな事を言っていた。

完全な父親の顔で。









ーこれ、見ろよ！可愛いだろぉ？
高校の入学式の時に撮ったんだよぉ〜
結局、すぐ通えなくなっちゃったけどなぁ〜









何度も見せられてきた写真を
この日もまた見せられた。

それも一枚二枚じゃなく
何十枚と大量に。

そして、その度こんな感じで
『俺の娘』『俺の宝物』って熱弁。

勿論それも、毎度のこと。


その姿を見る度に思ってたし
今も思ってる。

HIROさんと登坂は
よく似てるってね。

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