PRINCESS IS BACK ３

EP3-26 ページ26

ー爆睡してくれてたお陰で
バレずに採寸も型どりも出来たんだよっ！









完成した【ガラスの靴】の
写真を見せてきた兄ちゃんは
そんな事を言っていた。

だから
俺は思わず言ってしまった。

『起きるかわからなかったのに
こんな事までしてたの？』って。

そしたら
兄ちゃんは笑顔でこう言った。









ーいつ起きるかわかんないから
早めに準備してたんだよっ！
さすがに足型は内緒じゃ出来ないじゃん？









その時、思った。


この人はずっと前から
公表や、その先の未来を見据えてて
姉が目を覚ます事やや
歌姫として復活する事を
本気で信じてたんだって。


その時の【ガラスの靴】は
勿論、今も登坂家の飾り棚で輝いてる。
二人の思い出の写真と共に。








そうやって
迎えた当日。

指定された店に行くと
そこはもう、夢の世界って感じだった。


沢山の薔薇やバルーンが
所狭しと飾られていたり

デビューからの姉の写真が
スライドショーで流れていたり

どうしても
都合がつかなかった人から届いた
メッセージやプレゼントが
綺麗に並べられ
ライトアップされてたり

まさに、愛の溢れる空間だった。









ーお前の誕生日でもあるけど
今日はこれで勘弁して！頼む！









バタバタと動いてた思ったら
いきなり、駆け寄ってきた兄ちゃんは
綺麗なラッピングがされた箱を
そう言いながら渡してくれた。

その時、俺は思った。



この人には
本当にかなわないって。

ま、この直後
また思うんだけどね？笑





しばらくして
現れた主役は
まさに【シンデレラ】だった。

兄ちゃんが選んだ
綺麗なス○○○ブルーのドレスを身に纏い
驚き顔で、瞳を揺らしてた。









ーまだ泣くなっ、早いって！
写真撮る前にメイク崩れちゃうよ？









兄ちゃんに
そんな事を言われながら
エスコートされて
センターテーブルに腰掛けた。

その姿や、一挙一動を
俺は、ただじっと見つめてた。

勝ち目のない想いを馳せながら。









ー岩ちゃんもお誕生日だよっ！
ここに座ってなきゃだめっ！









パーティー開始の
乾杯をする事になった途端
いきなり駆け寄ってきた姉は
そんな事を言いながら、俺の腕を掴んだ。

この後に控えるサプライズや
この日への並々ならない想いを知ってるから
戸惑い、断る俺に
兄ちゃんは笑いながら言った。









ー俺のお姫様、意外と頑固者なの！
嫌かもしんないけど、付き合ってやって？

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