PRINCESS IS BACK ３

EP3-25 ページ25

俺達は
そんな事を思ってたけど
兄ちゃんは
それどころじゃなかったと思う。

だって、あの日は
色んなサプライズを仕掛けてたから。




その事を知ったのは
姉が目を覚めてすぐの事。

年末の忙しい時期に
兄ちゃんから
メンバー全員に招集が掛かった。

そこで初めて
俺達は姉の背負う過去や
左耳を失った真相を知った。


想像を絶するというより
想像すら出来ない。

そんな感覚を持ちながら
悲しみや怒り
そして、尊敬や愛おしさを抱いたのを覚えてる。

それぞれが涙を流しながら
言葉に詰まっていると
兄ちゃんは、こう言った。









ー過去がバレる可能性はゼロじゃない。
もしかしたら、晒し者になる時が来るかも。
その時、皆に迷惑かけるかもしれない。

そういうの全部、踏まえた上で頼みたい。

本気で一生アイツと居るつもりだから
付き合ってる事、世間に公表させて下さい。









あの時も兄ちゃんは
迷いのない目をしてた。

だからこそ
皆が、当たり前のように
頷いたんだと思う。




そうして律儀に
俺達の許可を取ると
兄ちゃんはすぐに動き出した。

HIROさんや
事務所幹部に話を通して
姉とゆかりの深い関係者に
サプライズパーティーへの
参加を呼び掛けた。

それと同時に
ドレスや内装を決めたりと

とにかく様々な事を
忙しい合間を縫ってこなしてた。

それも
とてつもなく幸せそうに。









ーこれ、アイツ絶対喜ぶっ♡！
キラキラ泣き顔出ちゃうなぁ♡ふふっ♡









何回もそんな事を言って
色んな事を決めてた。

特に、大騒ぎしてたのは
【ガラスの靴】が
出来上がった連絡が来た時だったと思う。

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