MIU404《Another Story》 (ページ33)

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伊吹side

「志摩ー！！！」

道で志摩を見つけて声をかける。

買い出しに行っていた志摩を途中の道まで迎えに来た。

「うるさい。」

そう一喝されたけど。

ふと志摩の後ろを見るとそこにいたのはAちゃん。

「あれ、Aちゃんじゃーん！どーしたの？あ、AちゃんもBBQ来るんだ！嬉しいなぁ！！」

結構早口になったけどAちゃんに１ヶ月ぶりに会ったんだからこれくらいは許して欲しい。

ふと目線を下げると、Aちゃんが持つ袋が目に入った。

少し考える。

Aちゃんが持っている袋も、志摩が持っている袋もニコニコマートのもの。

そうか、志摩がAちゃんを連れてきたのは袋の中身が分かったから。

まぁ、もしかしたらたまたま2人が会って、志摩がAちゃんに荷物持ちさせてるかもしれないから、一応彼女が持つ袋の中のビールの本数を数える。

12本。

これは違うな。

だってさすがに瓶ビール12本も俺ら飲まないし。

Aちゃん本人が買ったものだと確信してから声をかける。

「ねえ、Aちゃん」

静かに振り向くAちゃん。

「それ、志摩に持たされてんの？」

一応聞いてみる。

俺がそう言った瞬間の志摩の顔が怖かったけど気にしないでおこう。

Aちゃんは無言で俯いたかと思ったらすぐに顔を上げて

『ちがう。』

そう言った。

それを聞いて俺は驚いた。

だって、彼女は自分で買ったことを認めたのだ。

俺は彼女の前に歩いていって肩を掴む。

「誰に」

『は？』

「誰に頼まれたのかって聞いてんの！」

俺のその言葉に少し考えるような顔をしたAちゃんが次に発したのは

『べつに。頼まれてない。』

という言葉だった。

その声は少し震えていて、あぁ、嘘だなと気づいた。

「そっか…」

これ以上はダメだと思って今は諦める。

ひょいとAちゃんが持つ袋を持ち上げると、

『ちょ、返して。』

と言われた。

「取ったんじゃない！持ってあげるの！」

そう言って彼女の前を歩き出す。

Aちゃんから持ち上げた袋は結構重くてびっくりした。