MIU404《Another Story》 (ページ28)

今日:26 hit、昨日:42 hit、合計:88,298 hit

27 ページ28

･･･

「A！」

母親がAを優しく呼ぶ声が彼女の耳に届く。

彼女が振り返り母親の姿を確認して微笑む。

そして彼女は母親の方へ駆け出す。

『お母さん！』

そう呼んで抱きつきに行こうとした時、、、

急にAが立っている地面が抜けて彼女は下に落ちていく。

彼女がふと上を見ると母親は彼女を冷たい目で見下ろすだけ。

彼女が『お母さん！』と声を上げた時、彼女の母親は言った。

「あんたなんていらない。」

冷たく放たれたその一言と同時に彼女の周りは暗闇に包まれた。

ｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰ

You side

目を覚ますと汗ばんでいて気持ち悪い。

久しぶりに母親の夢を見た。

それも、私を恨む母親の夢を。

いつも笑顔が絶えなかったわたしの母親。

それを分かっていても、あの笑顔を思い浮かべることが出来ても、夢の中で母親は私に笑いかけてはくれない。

いつも近づこうとすると地面が抜けて下に落ちるのだ。

そして必ず母親は言う。

「あんたなんていらない。」

この夢を始めてみたのは、父親に初めて殴られた葬式の夜のことだ。

その時私は思った。

これが母親の本心なのだと。

私があの時蝶なんて追いかけなければ母親は死んでいない。

母親がもし死んでいなかったら今頃は楽しい家庭のままだったのか。

そう思ったら自分を責めることしか出来ない。

でも、最近は見なくなっていた母親の夢。

なぜ今日は見たのだろうか。

今日、幸せそうな"家族"という形に触れたからだろうか。

その"家族"という形の中に入れた気がしたからだろうか。

あぁ、私は依存してしまったのだろうか。

出逢ってたった2日の桔梗さんに。

自己紹介して1日のゆたか君とはむちゃんに。

多分だけど、伊吹にも、志摩にも依存してる。

今日の焼肉メンバーに依存してるんだ。

あぁ、だめだ。

依存なんてしてしまったら、いや、したことに気づいてしまったら、、、

自分が辛くなるだけ。

だめだ。焼肉の時のことは忘れよう。

そう思い忘れようとすればするほどあの楽しい感覚が自分から抜けない。

どうしても早くあの光景から目を逸らしたくて、私はもう一度布団に入って目を瞑った。