MIU404《Another Story》 (ページ27)

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「嘘だ！！嘘だろ！？嘘って言ってくれよ！！」

目の前には白い布を顔にかけられて横たわる母親。

そしてその母親に抱きついて泣き叫ぶ父親。

その時Aは自分がしてしまったことの大きさに気づいた。

わたしがお母さんを……

『ごめんなさい、ごめんなさい……』

Aはただただ謝った。

自分はかすり傷と打撲ですんだ。

それは彼女の母親が彼女を抱きしめて庇ったからだ。

大泣きしながらAはただただ謝ることしか出来なかった。

気づいたら母親の葬式は終わっていた。

父親と2人家に帰る帰り道。

おもむろに父親が口を開いた。

「A。」

掠れた父親の声にAは若干の恐怖を抱いた。

「お前がいなかったら。お前がいなかったらお母さんは！！！」

父親はそう言ってAの顔面を思い切り殴ったのだ。

父親のまさかの行動にAはその場から動けなくなった。

ただただ殴られた頬を抑えて父親を見つめる。

その瞳には恐怖しか映っていなかった。

父親はそれ以上何も言わずに家に向かって歩き出す。

Aは急いで父親について行った。

次の日。

彼女が目を覚ました時には父親はもう既に仕事に行っていた。

Aは1人で準備をして学校へ行った。

家に帰っても1人だった。

夜になって父親が帰ってきた。

ご飯が用意されていない食卓を見るなりAを乱暴に床に叩きつけ殴りつけた。

「役立たず！」

彼女はそう言われながら殴られ続けた。

そしてそれが終わったと一安心した彼女に父親はまた手をあげた。

お風呂ができていなかったのだ。

その日からAはご飯を作り、お風呂を作り、買い物をし、洗濯をし、、、
家事を全てこなすようになった。

それでも母親には到底近づけない。

父親はいつも彼女と母親を較べて

「役立たず」

そう罵って殴った。

ｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰ

それは彼女が中学生になっても続いた。

だけど父親はAの高校の学費は払うと言ってくれた。

自分のメンツを潰さないためにもAを高校に入れることはしたかったのだ。

Aは高校に入学したその日に男子に喧嘩を売られた。

1発殴られた後に反撃として1発ずつお見舞していく。

気づいたら5人いた男子はみんな伸びてしまっていた。

そこで彼女は気づいた。

喧嘩の才能があるのかもしれない。と。

その日から喧嘩に明け暮れるようになり、遂には父親がずっと嫌っているタバコにまで手を出した。

これが父親への反抗の始まりだった。