MIU404《Another Story》 (ページ22)

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とうとう家の前。
あと数歩。目の前のドア。

そっと後ろを振り向くとこちらに手を振っている桔梗さん。

頭を下げてから家の敷地内へ入る。

そしてもう一度振り向く。

あ、桔梗さんいないや。
帰ったかさすがに。

たすかった
これで家の中に入らなくてすむ。

家の敷地から出て来た道を戻る。
曲がってきた方とは逆の方向へ曲ってよく行くあの公園へ。

今日はここで時間を潰すしかなさそう。

ｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰ

「なーにしてんの？」

耳元で聞こえたその声に顔を上げる。

私に声をかけたであろう人と目が合う。

『伊吹』

「えー？呼び捨てなわけー？」

笑いながらそう言って私の横に座った伊吹。

「隊長が送って行ったんじゃなかった？」

少し真剣なトーンで言うもんだから

『ちょっと散歩。』

勘づかれるのが嫌で素っ気なく答える。

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「ねえ、Aちゃんはさ、なんでタバコなんて吸ってんの？」

しばらくの沈黙の後伊吹は私にそう問いかけた。

『べつに。』

そう、別に理由なんてない。
強いて言うなら父親への唯一の反抗。

父親はタバコが嫌いだ。
だからタバコを吸ってる。

「吸ってる理由ないならさ、やめない？タバコ。」

その言葉に私は隣の伊吹を睨む。

『別に関係ないでしょ。桔梗さんの前で私がタバコ吸ってるとか言ったらただじゃおかないから。』

私の言葉に苦笑いする伊吹。

「そんな言葉使って欲しくないな〜」

とか言って私のことを覗き込んでくる。

『伊吹はなんでこんなとこいんの？帰ったじゃん。』

どうしても話を逸らしたくてそう問いかける。

「んー、何となくAちゃん公園に居そうだなって思ったからきた。」

ふにゃりと笑ってそう言い放った伊吹。

『は？』

理解できないその言葉に私は聞き返すことしかできない。

「お酒、Aちゃん飲まないでしょ？でもあの時お酒買ってた。だから親御さんに頼まれたのかなって。」

『だからってなんで私がこの公園にいると思ったら来るの？なんの関係があるのお酒に。』

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「親御さんから暴力うけてない？」

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『……受けてないけど。』

まさかだった。伊吹にこんなこと聞かれるとは思ってなかったし、質問から回答までの沈黙の長さで私の言葉が嘘だってことはすぐわかる。

「そっか、俺の勘違いか！」

あれ、意外と…？

『うん。勘違い。残念でした。』

ごまかせたみたいでよかった……