MIU404《Another Story》 (ページ19)

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You side

前を歩く桔梗さんの足が止まって1軒の家の前にたった私。

桔梗さんは「どうぞ」と言って私たちを家の中に入れてくれた。

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「やー！！！」
「うぅ、やられた！」

ゆたか君、伊吹、志摩の声が響く家の中。

男子たちはチャンバラごっこをしているようだ。

私はというと、桔梗さんとハムちゃんの間で野菜を切っている最中だ。

もう少し切ろうかと野菜に手を伸ばそうとした時、桔梗さんが
「野菜もういいよ〜」
と言ったので伸ばした手を引っ込める。

「ご飯だよー」

ハムちゃんの呼び掛けに男子たちはすぐにやって来て。

いただきます！！

みんなで声を合わせて言った後に始まった焼肉。

こんなに賑やかな食卓は生まれて初めてな私はこの空間がとても心地よくて。

「Aちゃん食べてる？？」

定期的にそう声をかけて私のお皿にお肉を取ってくれる桔梗さん。

『食べてます！ありがとうございます！』

私の返事に満足そうに笑ってみんなと談笑する桔梗さんを見て涙が出そうになる。

この人はなんでこんなに優しいんだろう。

そんなことを思いながら食事を終え、片付けを手伝う。

「手伝ってくれてありがとうね」
ハムちゃんにそう言われて
『いえ、ご馳走になったので。』
と答えると、隣で桔梗さんが
「ハムちゃんと仲良くなったみたいで良かった」
と微笑んでいた。

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伊吹と志摩が帰ると言い出し、私も帰ろうと腰をあげる。

「Aちゃんはまって、私が送っていくから。」

桔梗さんに引き止められる。

『いえ！1人で帰れるので大丈夫です！』

私が遠慮すると桔梗さんは盛大にため息をついて

「危ないから！送ってくから待ってて。」

真剣な目で私を見つめてそう言ってきた桔梗さんに

『ありがとうございます。』

と言ってありがたく送ってもらう。

桔梗さんと帰り道を歩く。
昨日も送ってもらったのに申し訳ない。

わたしのそんな気持ちに気づいたのか桔梗さんがおもむろに口を開く。

「申し訳ないとか思わなくていいから。わたしが好きで送ってるだけ。気にしないで。」

口調は少しきついけど優しい目をしてそう言ってくれた桔梗さん。

桔梗さんがお母さんならいいのに。

私の中でそう思う気持ちが大きくなった1日だった。