MIU404《Another Story》 (ページ17)

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私の頭を撫でる優しい手とは裏腹に桔梗さんの目はとても真剣で。

この人はなにか気づいてる。

私はそう思った。

でも、バレるわけにはいかない。
桔梗さんに見捨てられたくない。
そんなに仲良い訳でもないのにそう思ってしまう私。
その想いが私の口を動かした。

『何も無いです。』

俯いてそう言った私に
「はぁ」
とため息のような声を出した桔梗さん。

でもそれ以上は何も聞かず、

「ゆたかとさっき話してたんだけどね、今日うちで晩ご飯食べて行かない？ゆたかがどうしても来て欲しいって。」

そう私を誘ってくれた。

『え、？』
キョトンとした私の腕を引っ張って
「いいでしょ？」
と目をキラキラさせるゆたか君。

その目に弱い私。

『私はいいけど、桔梗さんがいいなら…』

遠慮がちに桔梗さんをみる。

「もちろんよ！」
そう言って桔梗さんは笑ってくれた。

「志摩と伊吹も！！」

とゆたか君がフレンドリーとふわふわ髪の腕を引っ張っている。

フレンドリーは満面の笑みで
「いいぜぇ〜！なぁ！志摩！」
とふわふわ髪を見る。

そこで分かった。
フレンドリーは伊吹って名前で、ふわふわ髪は志摩って名前なんだ。

「行くよ」
桔梗さんのその声で私たちは一斉に歩き出した。

ゆたか君は前で伊吹と志摩と手を繋いでいる。

「Aちゃんって呼んでもいい？」
急にストールの女の人に話しかけられる。

『大丈夫です。私はなんてお呼びしたら？』

「羽野麦っていいます。ゆたちゃんや桔梗さんたちにはハムちゃんって呼ばれてるけど、好きなように呼んで？」

そう言って微笑んでくれたハムちゃん。

いい人だなぁ…

そう思いながら前を歩く桔梗さん達の後を追った。