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「ね、携帯出してよ。連絡先、教えて」
「いいの？」
「Aだって、もう少しで本島戻るんでしょ？そしたらあっちで飲みにでも行こうよ」
オーナーさんが、ふわふわと笑う。まるで気を許してくれたような。
名前も呼んでくれた。
飲みに行こうよって誘ってくれた。
………本島で。
そっか。わたし、戻らなきゃいけないんだ。
ハッとした。
あまりにこの島での生活が楽しいから、戻らなくてはならないということが頭から抜けていた。
「ごめんなさい、今携帯電源入れてなくて…」
「なにそれ？まあ、いいや。じゃあここに書いとくから連絡して？」
そこらへんにあったチラ裏に、ペンでさらさらと電話番号を書いて私にくれる。
ぼうっとそれを眺めていたら、ガラガラとドアの開く音。
「あ、岸くん。おはよう」
オーナーさんがドアの方を見て言う。
そこには寝癖のついた優太くんが、だるそうにポケットに手を突っ込んで立ってた。
ぴょこん、て左側が上に跳ねてる。
……かわいいなあ、とか。思っちゃってる。
「お前らこんな朝早くから…なにしてんの？」
「料理とか」
「は？」
「そうだ、神宮寺の様子見てくるね、」
オーナーさんと入れ替わるように、
優太くんが、私の横にやってくる。
「ふああ……ねみー…」
「まだ朝早いもん。まだもうちょっと寝てたら？」
「んー…もういいや。起きた。」
「ふふ、うそだー。まだうとうとしてるもん。」
「起きてる……っつーの…」
小さくなってった声に引っかかって
ちらりと見たら、立ったまま寝てる。
「…………ずっとここに居たいな」
思わず、ぽつりと。
本音がこぼれる。
ちょっと本気で考えてしまう。
仕事も、友達も、…廉のことも、全部放って。
ここに、とどまることができたら、
どれだけ幸せなんだろう。
「……ダメでしょ、それは」
優太くんの、染み入るような声がして、びっくりした。
「やだあ、起きてたの」
「ここにいたら、ダメだよ」
………これは、拒否？
突き放されているような感覚。
心がツーと冷たくなっていくのがわかった。
自惚れてたのかもしれない。
優太くんなら私のことを受け入れてくれると思い込んでたのかも。
「そうだね、帰るよ。帰んなきゃ。仕事も、突然休み取ったから迷惑かけてるし」
「……」
優太くんが何か言おうとした時、ポケットの中の携帯が鳴る。
プライベートのは電源切ってるから、これは仕事用の。
ディスプレイには平野の文字。
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かめ - めっちや、よかったです！この、作品好き (2017年7月7日 18時) (
レス) id: 185613c9fe (このIDを非表示/違反報告)
龍風(プロフ) - この作品の言葉のチョイスや物語の雰囲気が大好きです！とっても素敵なお話でした！！ (2015年8月30日 21時) (レス) id: 1b72ee1613 (このIDを非表示/違反報告)
じぐさ - 今まで読んだ中で１番位に良かったです！感動というか、楽しかったというか、言葉に表せないのですが素晴らしい作品でした！どちらの作者さんもこれからも頑張ってください！ (2015年8月26日 21時) (レス) id: b75a77f642 (このIDを非表示/違反報告)
星葉(プロフ) - すごく良かったです！文がきれいで読みやすかったです。これを映像化してほしいぐらい私この作品好きです！ (2015年8月16日 18時) (レス) id: ed2de52e9c (このIDを非表示/違反報告)
Natsumi .(プロフ) - ゆいさん、なつです！元平野なつです！お久しぶりです！！ りんりなさんとゆいさんのコラボ…全然知らなくて今更いっき見← 素敵な作品でした、また、書いてくださいおふたりで！！待ってます！！ (2015年8月16日 11時) (レス) id: 844a66fde4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆい☆＆リンリナ
x他1人 | 作成日時：2015年8月2日 17時
