真夏の白昼夢

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「うっわ、すごーい！！！」




飛行機に乗って、
船にも乗って、

やってきたのは、
本島とは遠く離れた、小さな島。



平日だからか、
観光客とか、全くいない。



どうせ、廉とは来れないんだろう。
ええーい、だったら1人で行ってしまえ！って。
ノリで。
来てしまった。

泊まるとことか、なんにも決めてない。
持ってきたのはキャリーバッグ1個ぶんの荷物だけ。
ノープランすぎる。

どうしよっかなあ、って思ってたら、
平野から電話。



「もしもし、おはよ！」

『おはよ！って、ちゃうやん！！なに！どういうこと！』

「どういうことってー？」

『いきなり1カ月も休暇とるなんて聞いてへん！』

「あー……うん。どうせ有給休暇溜まってたし。」

『はあー！？！！ままま待ってや！！！今回のプロジェクトは、』

「課長に電話しといた。私、降りる。ごめんね、途中で。でも今の私がいてもなんの力にもならないから」

『…………どこに、おるん？』



辺りを見渡す。



ざざーん、って波が行ったり来たり。

生い茂る森。

広くて青い空。




「なにも、考えずに済むところ。」

『………帰って、くるよね？』

「うん、1ヶ月経ったら。」

『なら、よかった。』

「何かあったら会社の方の携帯にかけてね。プライベートの方、電源落としちゃうから」

『…………待ってるで』



電話を、切る。
そして電源を落とした。
……これで、廉から連絡がくることはない。





「きれいだなー……」



海が、太陽の光を反射して、
ぴかぴかしてる。

透き通るような青色。




ヒールが、邪魔だと思った。
靴と靴下を脱いで、裸足になる。


砂浜をゆっくり歩く。

自分の足のつま先をみて、
一歩一歩踏みしめて。

そしたら、不意に、
暗くなって自分の影が消えた。


視線をあげたら、

男の、人が。立ってた。

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