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あれだ、一晩だけの関係みたいな。
旅先だけの関係。
期間限定で。
そういうことだ。
そうしとこう。
「あらん、もういい?」
「岸くん待ってよ、Aちゃんは?準備できた?」
「ああちょっと待ってくださ…」
「おっせーよーー」
既に海の中に入ってる優太くんが、
腕を縦に振って、バシャバシャ波を立てる。
……あの夜から、1週間。
何事もなかったように、優太くんは接してくる。
最初は拍子抜けしたけど、よく考えたらその方がいいのかもしれない。
大分、島での生活にも慣れた。
こうなったら楽しんだもん勝ちだろう。
「ほんとにシュノーケリングでいいの?」
「あれ、ダイビングじゃないの?」
「ちがうちがう、シュノーケリング」
「え??なにがちがうの?」
「シュノーケリングは比較的浅いとこ潜るんだけど、ダイビングはもっともっと深いとこまでいくの」
あらんくんが、シュノーケルに水が入ったときの動きだけ確認しとこっかって言ってレクチャーしてくれる。
それが終わったら、いよいよ海の中に。
しばらく浅瀬が続いたかと思うと、
ガクンといきなり深くなって、珊瑚がたくさん現れる。
そこに魚も集まってて、海が透明なおかげでよく見えた。
いいなあ。
この空間。
ただただ、熱中できるから。
時間も忘れて眺めて、
浜に戻ったら、宮近くんが来ていて、優太くんが嬉しそうに私に叫ぶ。
「宮近の家でバーベキューするってさ!」
「はやくシャワー浴びて着替えといでよ」
いえーいとか聞こえる。
スキップなんかしちゃってノリノリなのを、あらんくんが呆れながらみてた。
・
「食べてんのー?」
「食べてる食べてる!」
「うそつけー!もっと食べろー」
ぎゃはははって大騒ぎ。
最初は眺めてたけど、お酒入ったらあらんくんも騒ぎ出した。
「そいやさ、Aちゃんて何の仕事してんの?」
「普通のOLだよ。」
「なにすんの」
「内容?んー、色々あるけど、基本営業かなあ」
「スーツとか着てんの?」
「着る」
「うひょー!かっこいー!彼氏は?いないの?」
「ばーか、いないから1人でこんな島来てんでしょ?」
あ。地味に。
傷をえぐられる。
いや、事情を知らないわけだから、
あらんくんと宮近くんは悪くないのだけど。
「そーゆーこと言うんじゃないのー」
そう言って、優太くんが私の頭ぽんて撫でる。
そんな、さりげないフォローとか。
いちいちキュンとしてる自分が、怖い。
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かめ - めっちや、よかったです!この、作品好き (2017年7月7日 18時) (レス) id: 185613c9fe (このIDを非表示/違反報告)
龍風(プロフ) - この作品の言葉のチョイスや物語の雰囲気が大好きです!とっても素敵なお話でした!! (2015年8月30日 21時) (レス) id: 1b72ee1613 (このIDを非表示/違反報告)
じぐさ - 今まで読んだ中で1番位に良かったです!感動というか、楽しかったというか、言葉に表せないのですが素晴らしい作品でした!どちらの作者さんもこれからも頑張ってください! (2015年8月26日 21時) (レス) id: b75a77f642 (このIDを非表示/違反報告)
星葉(プロフ) - すごく良かったです!文がきれいで読みやすかったです。これを映像化してほしいぐらい私この作品好きです! (2015年8月16日 18時) (レス) id: ed2de52e9c (このIDを非表示/違反報告)
Natsumi .(プロフ) - ゆいさん、なつです!元平野なつです!お久しぶりです!! りんりなさんとゆいさんのコラボ…全然知らなくて今更いっき見← 素敵な作品でした、また、書いてくださいおふたりで!!待ってます!! (2015年8月16日 11時) (レス) id: 844a66fde4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆい☆&リンリナ x他1人 | 作成日時:2015年8月2日 17時