真夏の白昼夢

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廉とは、大学で同じサークルだったことがきっかけで出会って、付き合いだした。

そのまま社会人になって、お互い忙しいながらも充実した生活を送ってて。


廉は、この上ないくらい紳士的で、優しい。
具合悪かったり、仕事のことで落ち込んでたらすぐ気づいてくれたり。
めったに怒らないし、非常に穏やか。

顔もスタイルも良いから
友達に写真見せたりなんかしたら、必ずと言っていいほど羨ましがられる。




「今度の旅行さ、ここ行きたい！恋人の丘！」

「んー？へえ！恋愛のパワースポット」

「いい？行っていい？」

「ええよ。行こっか」

「やった！廉だいすき！」

「おっ、と！突然抱きつくなし〜」





____理想の彼氏、だと。周りからは言われてた。

その度、私は鼻高々で。
ちょっとした優越感。

大きなケンカなんかもしたことなくって、
それってある意味やばいんじゃないの？とか言われたりするけど
……廉は、そういうタイプじゃないんだよなあ、って。
本当に根が優しい人だから、ケンカなんかしたくないし、する気もないんだろう、って。

だから順調にいけば、
このまま結婚？
ああそうかも、ふと気付けばもういい歳。

結婚して、数年後には子供ができて、
私は退職？専業主婦ってやつになって？
あったかい家庭を築く。


私、最高の人生だ。

完璧。理想通り。

きっと、廉となら、
そんな将来は近いだろう………って、




思ってたのに。









残業があるから、
廉に今日は家に行けないよってメールしてた。

けど、どこかの連絡ミスで届くはずの資料が届かず、予定が大幅変更。
郵便でなんて待ってられないから、明日直接現地に向かうことに。

突然の出張。
慌てて準備してたら、旅行用のポーチが無いことに気づいて。
そうだそういえばこの前、廉の家泊まったとき置いてっちゃったんだ！

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