8-聞けない ページ8
彼が隣に座っていると意識したら急に心臓の音がうるさくなった。
ーーーPrrrrr.
JM「電話、いいですか？」
どうぞと促せば彼はスマホを耳に当てた。
JM「ヤー、テヒョンァ。ネ。アー。アニヨ」
時折、低めの楽しそうな声が漏れ聞こえる。仲良さそう。韓国のお友達かな。
言葉は分からないとはいえ、席を外したほうがいいかな。そう思って腰を浮かせると右腕をパシッと掴まれて阻まれた。
「ジミン君？」
驚いてそう呟くと、ジミン君が返事をする前に電話の相手が何か騒ぎ始めた。
ジミン君はそれを無視して「ヌナ、ここに居て」と、今度は掴んでいた手を離し、代わりに指先を絡めて手を握ってきた。
電話の向うでジミン君を呼ぶ声が聞こえる。彼はちょっと困った顔で相手に何かを告げ、そうしたらまた相手が騒ぎ立てた。
この間、私達の手は繋がれたままだ。
最終的に、爽やかに笑って電話を切った彼を、私はぼーっと見ていた。
JM「Aヌナ？だいじょうぶですか？」
スマホを持っている手を目の前でヒラヒラと振られて、ハッとする。
「だ、だいじょぶです」
JM「そうだ。ヌナ、お土産あります」
ソファの横に手を伸ばして彼は瓶を一本取り出した。あれ？そんなのいつの間に持ってた？
JM「かんこくの、おさけです。飲みましょう、ヌナ」
えっ。飲むの？正直そんなに強くないんだけどな。いや、別に下戸ってわけじゃないけど。
私の考えが顔に出ていたのかジミン君はスマホを使って「美味しいので飲んでほしい。あまり度数の高くないのを選んだから。だめかな？」と伝えてきた。
「飲みます」
JM「グラス、取る、します」
繋がれていた手が離れて、ジミン君は我が家のごとく真っ直ぐキッチンに向かい、迷いなくグラスをとって帰ってきた。
離された手がちょっと寂しくてジッとその手を見ていると、ジミン君は素早くお酒を二人分注いで、もう一度ソファに座り、また手を繋ぎ直した。
……絶対私、顔赤くなってる。
何故手を繋ぐのか、聞くべきか聞かざるべきかそれが問題だ。
韓国人ってスキンシップ多いって言うけど、こんなレベルなの？それともこれって自惚れていいのかな？
結局何も聞けないまま、動揺を誤魔化すために空いている片手でグビグビと飲みつづけていたら、いつの間にか私の意識は飛んでいた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1498人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「BTS」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
まぁちゃん(プロフ) - とても楽しく読ませてもらってます！更新頑張ってください！いたジミナの仕事がわかるのかな？知ったヌナはどんな反応するんだろうと、ワクワクしてます！更新頑張ってください！！ (2019年12月8日 21時) (
レス) id: c9fb7178cf (このIDを非表示/違反報告)
ぽち(プロフ) - 初コメ失礼します☆オススメから作品を拝見ささていただきました^ ^丁寧に お話が進んでいくのと��ヌナ設定��が とても好きです☆この先の展開が とっても楽しみです☆更新 頑張ってください(*^▽^*) (2019年12月1日 8時) (レス) id: f642a86e45 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：なつの | 作成日時：2019年11月19日 14時
