二十四 ページ25
お店にお酒は置いてなかったから
2階の自宅にテヒョンさんを招き入れた。
なんとなく、テヒョンさんは今日のことを
聞きたいのかなと思った
案の定、それは当たっていて
乾杯した後もそわそわしていたから
私から切り出した。
”俺も話すから”
彼の話を聞いてみたかった。
私と同じ名前の人の話を。
『今日はね、私の大切な人の3回忌だったの。』
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”テヒョン”と出会ったのは高校の時、
春の日差しが心地よく、優しい風が吹き入れる
窓際の席で前後だった私達。
人懐っこくて、引っ込み思案な私に
彼はキラキラとした笑顔で話しかけてきた。
最初は苦手なタイプだと、そっけなく返していたけど
ハリンと”テヒョン”が仲良くなったのをきっかけに
私も段々と”テヒョン”の人柄を知るようになった。
”テヒョン”は好奇心旺盛で、明るくて、優しくて、
いつも私に「人生楽しまないと損だよ!」って
いろんな場所に連れて行ってくれて
3人で遊んでいるうちに私は”テヒョン”のことが
好きになった。
ハリンにはすぐにバレて、早く告白しろと言われたが
私にそんな勇気はない。
それに、私は知っていた。
”テヒョン”には想い人がいる。
”テヒョン”の幼馴染の年上のお姉さん。
とても綺麗で、初めて会った時は見惚れてしまった。
私にも優しくて、買ったけど使わないからと
沢山のコスメをくれた。
こんなお姉さんになりたい。
”テヒョン”が思いを寄せてくれるような。
”テヒョン”のことは好きだったけど、
お姉さんの前で見せたあの顔は、
到底私に振り向くことはないと確信した。
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作者名:うなす | 作成日時:2021年4月7日 1時