木蘭の涙 (ページ49)

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「Aの居場所は分かったのか？」

「…いえ…それは……」

「何をしてる！！」

Aの父、義父の怒りが降り掛かったのは、高地に対してだった

なかなか動きを見せない京本家につい憤ってしまったのだ

「Aの事は…そっとしておいてやって下さい…」

高地を庇うように、また、Aを庇うように…
そう言った

みるみる顔が赤くなっていく義父

「な、何を言う…！」

「お願いです…きっとAは、今…幸せなんです…」

愛する女性の為に土下座をするなんて初めてだ

そんな俺に対して、
義父は言い返す言葉を見出だす事が出来なかったのだろう

踵を返し、黙って出て行った

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「お前ら！今すぐ居場所を突き止めろ！！」

京本家から帰ってきて早々に、
椎名家に響き渡るこの怒りの声は、
全ての者に命じられていた

「でも…、お嬢の事は京本様が…」

「Aではない！」

恐る恐る聞き返す慎太郎に対して一段と激しい声が飛んだ

「処罰を受けるのは、松村だ」

慎太郎と樹の顔が凍り付いた

ただならぬ空気の中、
従わなければならない事だけが事実だった

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