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数時間後、医者が帰ったそこには
床に引かれた薄い布団の上で眠るA
その傍で一時も離れず、手を優しく握り締める
「A……」
そう呟いてAの髪をそっと撫で、
Aを抱きながら自分も横になった
「…ごめんな、大したもん食わせてやれなくて………
…でも、これからそんな事言ってられなくなるな
A……俺が守るから…俺がなんとかするから、
心配しなくていいからな…?」
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数時間前、町医者にAを見せる
当時の容態、最近の様子などを伝えると、
小さくふぅ、と息を吐いた医者
「あの…、Aは…!」
「心配いりませんよ」
焦ってそう聞くと、
医者は優しく笑ってそう言った
「…え…?」
「…懐妊ですね」
医者は一瞬躊躇ったような素振りを見せ、
その後笑ってそう言った
Aのお腹の中には、新しい命が宿っているのだと…
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安らかに眠るAを眺める俺の頭の中には、
ずっとその言葉がリピートしていた
『…ん、北斗…?』
「A…?…起きて大丈夫か??」
随分顔色が良くなったAはゆっくりと体を起こす
『北斗……私………』
Aは気付けば昼間になっている辺りを見渡してから、
不安気な表情を浮かべながら俺に問い掛ける
俺はAを落ち着かせるかのように笑顔で抱きしめた
「A…、大丈夫だよ…」
『…え…?』
「Aのお腹の中にはね、子供がいるんだ…」
突然の言葉にAは暫く言葉を失ってしまった
『…う、そ………、北斗…ホントに……?』
「ホントだよ…A……」
強く抱きしめられたAの目からは涙が溢れていた
ここに来てからの事、
つまり俺との子である事は間違いない
嬉しさのあまり流れる涙は止まらなかった
「…これからはA一人の身体じゃないんだから、
もっといいもん食わしてやるからな?」
『北斗…』
「…元気な子、産んでな」
その時の笑顔は二人の愛が反映した幸せそのものだった
そして、何より新しい命こそが二人の絆を深く表していた
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あい - このお話大好きです! (2022年10月2日 12時) (レス) id: 72d1a3d1f4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:リナリア | 作成日時:2022年7月31日 1時