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どれほどの道を来たのだろう








東海道を辿って、田舎の町外れまでやってきた








随分遠くまで進んでいた私達は、
いつしか疲れ切った肩を寄せ合って眠ってしまっていた












「A…!起きて!」







そんな声で目覚めた朝







まだ寝呆け眼の私はゆっくりと自分のいる場所を眺めた








寝ていた場所は確か木の下だったはず……





でもいま寝ているところは布団で、
時折トントンと何かを切っている音がする






『北斗…?ここ何処…?』







「分からない…」







妙な不安が襲う







見つかったのか……
いや、そんなすぐにだなんてありえない







色々な考えがぐるぐると駆け巡っていると
目の前の襖がすっ、と開いた







「あぁ、起きはりましたか?」







二人がいた場所、それは小さな民家だった







小柄なお婆さんが二人の元へやって来て声をかける







「あの…なんで…」






北斗がそう言うと、お婆さんは安心させるように
にこりと微笑んだ






「あんたら、雨ん中倒れとったやろ
せやから家へ連れて来たんや」







「あぁ、そうだったんですか…
すみません、ありがとうございます…」








朝方偶然通りかかった優しいお婆さんが
二人の姿を見つけたという






近所に住む人達が運んでくれたらしい







「僕ら、実は駈け落ちしてきたんです…」






しばらく話しているうちに、北斗はそう打ち明けた






お婆さんは別段驚いた様子もなく二人の話を聞き入れる







「綺麗な娘さんやったからそんな事やろうと思いよったんよ」






二人は顔を見合わせて笑った



そんな二人を見ては、お婆さんの笑顔が綻ぶ








「どこにも知らせんから、ゆっくり休んでいきな」







優しいお婆さんの厚意に甘えて、
その日も民家に泊めてもらい、
次の朝お婆さんには別れを告げた









「幸せになるんよ」









別れ際にお婆さんが放った優しい言葉に
私達は込み上げるものをぐっと堪えた












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あい - このお話大好きです! (2022年10月2日 12時) (レス) id: 72d1a3d1f4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:リナリア | 作成日時:2022年7月31日 1時

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