木蘭の涙 (ページ25)

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『御一緒させていただけるなんて、本当に光栄です』

「では、夕方頃もう一度そちらに伺います」

『お待ちしていますね』

一旦京本さんを見送る私の表情は淀んでいたと思う

それはつい先程の事

「今年は二人で行くといいだろう」

私と京本さんに向かって言った父の言葉が原因だった

しかしそれは当然の事であって、
自分の考えの甘さを思い知らされた

北斗と二人で過ごせる時間が
いつまでも続くはずがない事は
痛い程に分かっているのに、
現実として捉える事が出来ない

『………北斗…っ、』

後ろ姿の北斗を見つけ、傍に寄る

後ろから抱き締めた背中はいつになく愛おしかった

『………京本さんと行きなさい、って…』

声は消え入りそうな程に震えていた

『ごめんね…一緒に行こうねって言ったのに…っ』

「…いいから。Aは悪くないだろ…？」

北斗の腕の中で涙を拭い、
顔を上げると、ひとつ、口付けが落ちてきた

「お嬢ー！！」

遠くで慎太郎が大きな呼ぶ声が聞こえる

小さくため息が漏れて、名残惜しい心を隠しながら
迎えに来た京本さんとお祭りに出かけた

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「もう、そろそろか…」

一人になった北斗は、
もうAと離れる日が遠くない事を感じていた

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