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『失礼します』
スー、と音を立てないよう、ゆっくりと襖を開ける
視界に入ってきたその男を見た瞬間、
" 綺麗 "
ただ純粋にそう思った
「初めてお目にかかります
私、京本家三代目、京本大我と申します」
綺麗な角度でお辞儀をした彼に、
一瞬で目を奪われた
こつん、と父上に背中を押され、
慌てて我に返り、頭を下げる
『この度は初めまして、椎名Aと申します』
その後、当の本人達が、特に何を話すわけでもなく
私は父上のお酌をしてご機嫌を伺うばかりに終わった
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『はぁ………疲れたぁ……』
「Aさん」
長い廊下をボーっと歩いていると、
不意に後ろから呼び止められる
『京本さん……』
振り返って、月明かりに照らされる京本さんは
やはり綺麗で、少し緊張して背筋が伸びる
「なんか、僕らメインだったのに
全然話出来なかったですね」
そう言って笑った京本さんは
しつこいようだけどとても綺麗
…………男性に綺麗って失礼なのか……?
『もっとゆっくりお話が出来れば良かったんですけどね…』
社交辞令とでも取れそうだけれど
本音が零れ落ちると、京本さんは優しく微笑む
「今から少しだけでも、どうですか?」
『ハイ、喜んで』
そう言って二人で庭園へ下りる
月が綺麗に見えるこの庭園で
どれほど言葉を交わしただろうか
私は、話の内容より月に照らされた
その横顔があまりに綺麗で、終始見惚れていた
「またお会いしましょう」
帰り際に京本さんはそう言い残していった
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あい - このお話大好きです! (2022年10月2日 12時) (レス) id: 72d1a3d1f4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:リナリア | 作成日時:2022年7月31日 1時