木蘭の涙 (ページ19)

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その日の夜、私は庭園へと向かった

自制する思いとは裏腹に、
会いたいと思ってしまったから………

もう体裁などどうでも良かった

ただ一心に募る想いが溢れだした

それだけの話………

思った通り、そこには北斗の姿があった

木蓮の木を見上げる北斗の姿は
どこか憂い気で…………

ふと気付くとAの目からは雫が零れ落ち、
滲みだす想いが止まらなくなっていた

Aは無意識に後ろから北斗に抱きついた

「…お嬢さん？」

『………………ずっと…会いたかった…』

Aのその一言が、
同じように自制し続けていた北斗の胸を締め付けた

理性なんてものは所詮脆い

吸い寄せられるように重なった唇は、
そのまま離れることはなく、
二人は熱い口づけを幾度となく繰り返した…

『松村さん…愛してるの…』

口付けを交わした直後の、
その濡れた唇を光らせながらAは言う

「僕も、貴女を愛しています…」

溢れる涙は止まることを知らない

こんなにも好きで好きで胸が張り裂けそうなほどに切なくて…

愛を確信した今宵、

二人に後悔はなかった

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