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一方の京本家―――








「高地、」







「何でしょう、大我様」







京本家に仕える高地を、
思い詰めたように呼ぶ大我







「あの人の心には、誰が映ってるんだ…?」








大我は、Aの想いが他へ向いている事に気付いていた







第三者が決めた結婚とはいえ、
ひと目見た、その一瞬で心を奪われ、


一緒にいればいるほど惹かれていった





恋い焦がれた相手の心は、痛いほどよく分かる








「大我様、必ずご結婚なさるんですからご心配は…」








高地は決められた台詞のように言う






立場上、身分違いの恋というものを
近くで見てきた事も少なくはなかった







きっとそんな経験があるからこそ、
そう言う他無かったのだろう








「…………そう、だよな……」











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「お嬢、最近元気無いですね?」






見兼ねた慎太郎が声をかけた






さすがにあの日以来塞ぎ込み過ぎてるし、
不自然な程に北斗の事を避けている







『ん、そんな事ないよ……ありがと…、』







慎太郎には隠せない気がした





何故かは分からないけど、そんな気がしてならなかった








『慎太郎………?』






「何ですか?」





『………松村さん、は?』







そう尋ねると、慎太郎は肩をピクリと揺らす






「…………北斗ですか?たぶん、夜には戻るんじゃないでしょうか」







『そっか、ありがとう』







僕じゃなくて北斗に用があるんですか、
と笑いながら言った慎太郎につられて笑ってしまった







「…………まだ、大丈夫だよな」






そう零す慎太郎の声は、Aには聞こえなかった











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あい - このお話大好きです! (2022年10月2日 12時) (レス) id: 72d1a3d1f4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:リナリア | 作成日時:2022年7月31日 1時

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