木蘭の涙 (ページ2)

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……もうお姉ちゃんがお嫁に出た時の歳にまで来たか

椎名家は代々16歳で嫁に出される

お相手の京本家は……三代目、とかなんとか言ってたな

私は正直………結婚なんて全然興味無い

今の生活も正直飽き飽きしてたけど、
今日初めて会う男と結婚、なんて言われても
頭がついていかない

お姉ちゃんが幸せそうかって言ったら、
全然そんな事無かったし………

たぶんお姉ちゃんは結婚なんかしたくなかったんだ…

と、思う

ホントのところは私なんかには分からない

慎太郎に聞いても教えてはくれないし

「A」

『………父上、』

いつの間にかいなくなっていた慎太郎がいた位置を
ぼーっと眺めていると、

廊下の角から声を掛けられる

「京本家の息子さんがお見えになられたから来なさい」

『……はい』

父上に口答えなど出来ない

言われたことにすぐ返事を返すと、
父上の後ろに居た慎太郎と目が合った

父上の背中を追いかけるように
重い腰を上げ、慎太郎の傍に駆け寄る

『どんなんだった？？』

「それが！めちゃくちゃ男前でしたよ！！」

『ホント？(笑)』

「僕の目は確かです！！」

『あんま信用ならんな…(笑)』

父上の後ろで顔を寄せ合い、
コソコソとそんな言い合いをする

「ほら、早く中へ入りなさい」

『あ、すみません』

あまりにもゆっくり歩いていたからか……
無駄話が長かったのか……

慎太郎とはしゃぎ過ぎてると父上に怒られた

「お嬢！おしとやかに、ですよ！(笑)」

中に入る直前、悪口とも取れる
そのものの言いよう

本人はそんなつもりはなく、
胸の辺りでガッツポーズして
にこにこしている

『うるさい(笑)分かってる』

そう言って、襖の前に座り向き、小さく深呼吸

この襖の向こうには、
もう私の旦那となる人が居るんだ……

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