Forget-me-not 2 (ページ6)

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『おはようございます』

郵便物が届いた翌日、
いつもと同じように出社する

相変わらず返ってくるのは
媚びを売る必死な挨拶と、
聞こえてないフリをする陰湿な人の視線

デスクに座り、いつもの作業を始める

今日も1日たいした仕事は任されないであろう
退屈な日が始まるのか、と小さくため息をつく

「西条さん、？」

そんな中、珍しく掛けられた声に
慌てて顔を上げる

そこには涼太と再会したきっかけの伊藤さん

この人に書類を届けてなければ
涼太とは深くまで分かり合えてなかったのかもしれない

と、思うと多少なりとも感謝が浮かぶ

伊「これ、さっき会社の前で渡されたんですけど……」

そう言って取り出したのは白い封筒

消印も住所も書いていない、
不自然な封筒

ぞわ、っとした感覚が走り、
背筋がすっ、と伸びる

『……ありがとうございます、』

ゆっくりと受け取り、その封筒を見つめる

宛名は確かに私

それをそっとポケットにしまい、
足早に部署から出る

会社まで知られていて、
…………もしかしたら入ってきてるのかも、

なんて悪い方へと考えてしまう

エレベーターへ乗り込むと自然と出るため息

ぐんぐん上昇していき、降りた先は社長室のある階

コンコン

「はーい」

呑気な兄の声が聞こえて、少し安堵する

ゆっくりと扉を開けると
驚いて目を丸くした兄

『…………お兄ちゃん、』

「っ！！ど、ど、ど、どーした？！」

会社では" 社長 "としか呼ばない私が
突然の" お兄ちゃん "呼びに、
動揺が隠せてない兄

あ、机の角にぶつかった

「いった！え、な、なに？！」

慌てる兄を見て、ザワザワした感情が
少し和らいだ気がした

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