Forget-me-not 2 (ページ20)

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翌朝、頭を撫でられる感覚で起きる

目を開くと優しく微笑んでる涼太

いつもとは違う風景に、初めて出会った日を思い出す

" あなたは、今幸せ？ "

あの時、そう問いかけたはずの言葉が
私の心に突き刺さる

逃げたところで仕方ないのも分かってる

「今日……見に来る？」

悶々と考え込んでる私に
暇でしょ？なんて言って笑う涼太

嬉しくて大きく頷いた

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ずっと一緒にいるわけにもいかず、
涼太は渋々リハに出かけた

少し手狭なホテルの一室にぽつん、と取り残された私は
夜の開演時間までどう時間を潰そうか
悩んだ挙句、少し街中をぶらぶらすることに決めた

ホテルのロビーを突っ切って、
外へ出ようと扉に手をかけた瞬間

視界を横切った黒い影が
扉を先に開け、押さえている

見覚えのあるその顔はしっかりと口角が上がっていて
不気味に、とても不自然に笑っていた

「………西条さん、随分遠くまで来たんですねぇ」

『………伊藤さん、』

「少し、お話しませんか？」

逃げれるなんて思ってなかった

けど、こんな早いとは……

『……分かりました、』

あちらにしましょう、そう言って私が指したのは
ホテル内の広々としたカフェ

逆上、なんてことはないと思うけれど
念の為、人目があるし、安全だから

「……じゃあ……ホットコーヒーを」

『私はアイスコーヒーで』

飲み頃になるまで話すつもりもない
さっさと飲んで切り上げる為、アイスコーヒーを頼む

「……Aさんは、僕と昔話したこと覚えてますか？」

『……いえ、内容までは、』

ウェイターが去っていくのと同時に話し始めた伊藤さん

私の意図に気付いたのか、
……そんな敏感な人だったかな、

「" 好きな人とは結ばれないんだよ "」

そう言われて、私の頭の中で
同じ言葉が" 私の声で "再生される

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