両思い。【磯貝悠馬】Part2 (ページ8)

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両思い77日目ページ8

そしてその後、すぐにやってきたお別れの時間。またねー！と元気よく手を振る子供達。そしてそれに大声で答えるE組メンバー。そしてそしてさらにその傍らで

「Aねぇ、帰っちゃいや！！」

「もっと遊ぼうよ…！！」

「明日もきてね？」

…制服のスカートの裾を子供とは思えない力で掴まれて動けない私。

「わ、私も3人と遊びたかったなぁ…。でもお姉ちゃんそろそろ帰らなきゃ…ごめんね？」

大泣きを続ける3人に完全に困惑状態です。

ちらりと確認すればもう寺坂組なんかはぞろぞろ学校に向けて歩き出してるし、私だってそろそろ行かなければマズイ。とはいえこの子達を無理に引き離すのも何だか気が引けてしまって動けずじまいだ。

「…ど、どうしよう〜…！」

3人の頭を撫でながら周りに助けを求めようとすると

「菜瑠ちゃん、千鶴ちゃん、輝君」

いつの間にか隣に来ていた彼が、目線を合わせて優しく微笑んだ。

「Aお姉ちゃんとはまた絶対会えるよ。もしダメだったら俺がAお姉ちゃんを絶対連れてきてやるさ。お兄さんを信じてくれないか？」

真っ直ぐに目を見つめて話す悠馬を、3人はうるうるとした目で見つめ返す。少し怪しむようにして、数秒後。

「…分かった。俺、お兄ちゃん信じる」

輝君がぐいっと涙を拭って力強く頷いた。その姿を見て、何かを思ったのか菜瑠ちゃんと千鶴ちゃんも同じように涙を拭く。そのまま今度は優しく私に抱きついてきた。

「もっとお手紙かけるようになって待ってるね」

「菜瑠も、いい子で待ってる！」

まだ少し涙声だけど、精一杯笑う3人。そんな３人が愛おしくて

「一緒に遊んでくれてありがとう。また沢山遊ぼうね！」

最後にもう一度声を掛けると、今度は飛びっきりの笑顔で答えてくれた。元気いっぱいの返事に安心して、悠馬と頷きあって私達も歩き出す。お互いの姿が見えなくなるまで、手を振り続けながら歩いていた。

「しょうがないけど、ちょっと寂しいなぁ」

「凄くいい子達ばかりだったな。それにあんなに懐いてくれるなんて、Aは子供の相手が上手なのかも」

「そうかな…だったら嬉しい」

楽しかった時間を思い出してクスリと笑う。大変だと思ったけれど、3人が心を開いてくれたことが何より嬉しかったのだ。

「お疲れ様」

「悠馬も、お疲れ様」

こうして幕を下ろした私達の特別授業。明るく楽しく終わって一安心。だけど

待ち受ける中間テストは、前日に迫っていた。