両思い。【磯貝悠馬】Part2 (ページ39)

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両思い110日目ページ39

「ちょ、莉桜ちゃんなにこれっっ！！」

「ええー、間違ってないっしょ？」

慌てる私に対して、今度はやり返しだと言わんばかりにカエデちゃん達に混ざって渚君も覗き込んでくる。莉桜ちゃんが用紙に記入していたのは

『志望校:悠馬と一緒♡
志望する職業:悠馬のお嫁さん♡』

なんてご丁寧に♡まで付けられたアホすぎる回答。これこそピッタリだ！なんてカエデちゃんと意地悪く笑う渚君に馬鹿じゃないの！？なんて怒り返して急いで文字を消した。

「磯貝のお嫁さんが嫌なら俺でもいいんだけど？」

「そういう問題じゃない.....てかそれ浮気だし」

「別れてるかもしれないじゃん」

「縁起でもないこと言わないで」

冗談なのか本気なのか分からないカルマの言葉にも冷静に返す。そんな私達のやり取りを3人はじっと見つめていた。

「カルマ殿、中々堂々と口説くねぇ」

「まあね。磯貝にはもうバレてるし、俺は俺で諦めないって決めたから」

「Aちゃんがこんなに恋愛漫画の主人公みたいになってたなんて.....」

「大変だね、瀬戸さん」

莉桜ちゃんはなんだかニヤニヤと楽しそうだし、カエデちゃんは1人で盛り上がってるし、渚君も笑ってるだけでカルマを止めないし。

最近のカルマはこうやってことある事に私に好意を示してくる。好きと思ってくれるのは嬉しいことだけど、こうやって皆の前でも所構わず言われると困ってしまうのが事実だ。

ここはこれ以上この話を続けるのは私の身が持たない。そう思ってわざとらしく口を開く。

「って言うかさ、2人は決まってるの？進路」

「ん？俺は官僚になりたい」

「官僚？へぇ.....カルマなら政治家になりたいとかの方がしっくりくるのに」

「表立った事しかしないやつじゃなくて、俺は影で仕切る官僚がいい。寺坂みたいなバカを操る方が楽しいじゃん」

「な、なるほど.......」

所謂政治の裏方のようなイメージだから思わずびっくり。けれど理由を聞けばなんともカルマらしい理由だった。

「莉桜ちゃんは？」

「あたしは外交官かな」

「え！？」

「ちょ、何驚いてんの？ま、バカやるだけじゃなくて、自分の能力も最大に活かしたいって思ってね」

自分の夢に憧れを抱きながら、嬉しそうに話す莉桜ちゃん。まだ見ぬ将来に思いを馳せてなんだか胸が高鳴った。

「おい瀬戸！次お前だぞ〜」

進路相談が終わったらしい杉野君に呼ばれて慌てて席を立つ。行ってらっしゃい〜なんて3人に見送られて私は職員室へ向かった。