両思い。【磯貝悠馬】Part2 (ページ38)

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両思い109日目ページ38

成熟の11月。皆がそれぞれ将来に向けて答えを出し始める時期。我らがE組もそれは例外ではなく、目の前に置かれた進路希望調査、の紙と向き合っていた。

「なーに、あのタコ。本当に進路相談やってるの？」

頭を悩ませるE組の教室にトコトコ入ってきたのはビッチ先生。彼女は超生物が進路相談をしているというなんとも不思議な現状にツッコミに来たらしいけど、私達はそれ以上に彼女の変わりように驚いていた。

「ビッチ先生！」

「普通の服着てる.....」

今日のビッチ先生はいつも来ているお高そうな服でもスーツでもない。よくある大型ブランドで売っていそうなシンプルなハイネックの白ニットだった。

「そ、普通の安物！あんた達の普通の世界に合わせてやっただけよ！.....何よ、やっぱりもっと露出が欲しいわけ.....？」

「いや、隠したことでよりエロに凄みが.....！」

「ある意味成長した.....！」

「岡島君、鼻血鼻血」

体のラインが出るニットに興奮してるお馬鹿さんは放っておくとして。再び進路相談の紙を見ながらカエデちゃんの机へと向き直る。今はメグちゃんの椅子を借りてお引越し中だ。

「うーん.....将来の事、まだ決めてなかったなぁ.....。Aちゃんは？」

「私は一応.....なりたいものだけ？あんまり詳しくは決まってないかな」

「ええ、なにな.....」

「あぁ！ちょっと中村さん！！」

悩むカエデちゃんとのプチ進路相談は隣の席の渚君の大きな声に掻き消される。なになに？と身を乗り出して聞けば彼はげんなりとした顔で紙を指さした。

「んーっと、志望校女子高、志望する職業、ナースにメイド.....ピッタリじゃん」

「ちょっ！瀬戸さん！？ピッタリってどういうこと？中村さんも勝手に人の人生歪めないでよ.....」

「渚君、卒業したら、タイとかモロッコに旅行しよ？今はタイが主流だって」

「カルマ君は何で僕から取ろうとするの」

「渚君も大変だね.....」

「今回は瀬戸さんもそっち側だからね」

どこからか現れたカルマにも弄られ、はぁ、と疲れたように溜息をする渚君。そんな彼にごめんごめんと笑っていれば、いつの間にか自分の紙が無くなっていることに気づいた。

「あれ、私の紙.....」

「ほい、あんたはこれでしょ？書いといてあげましたよっと」

どのタイミングで奪っていたのか、ぴらりと私の紙を机に置く。その内容を見て、思わず声を上げそうになった。