両思い。【磯貝悠馬】Part2 (ページ36)

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両思い107日目ページ36

囲むようにして倒れた死神の周りに集まる。操作室から烏間先生が檻を開けてくれて、ようやく私達も脱出を図ることが出来た。

目の前に倒れる男は、見るも無惨な姿だった。顔の皮は彼が言っていたように全て剥がれ、赤黒い肉や神経が丸見えになっている。まるで標本のようなその姿は意識を失ってもなお私達に不快感を与えてきた。

「強力なスキルを持った男だったが、過信しすぎていた」

「影響を与えたものが愚かだったのです。本来もっと正しい道でスキルを使えたはずなのに」

「人間を生かすも殺すも、周囲の人間次第か」

「そういうことです。ねぇ、イリーナ先生！」

烏間先生と静かに言葉を交わしていた殺せんせーが不意に呼びかける。

私達のすぐ後ろ、こっそり廃墟から抜け出そうと忍び足をしていたビッチ先生がギクリと肩をふるわせた。一度振り返って、気まずそうに苦笑い。そしてそのまま廃墟の外へ行こうと走り出すものだから

「てめぇビッチ！！！」

「何逃げようとしてんだ！！！」

「逃がしゃしねーぞ！！お前ら、行くぞ！！！」

結局血眼になって追いかけるE組に呆気なく連行されることとなった。

「あーもう！！好きにすればいいわ！男子は溜まりまくった日頃の獣欲を！女子は私の美貌への日頃の嫉妬を！！思う存分、性的な暴力で発散すればいいじゃない.....！」

「えぇ.....」

「発想が荒んでんなぁ.....」

本当に、中学生相手に何を言い出すんだか。

男子達に捉えられ、まるで動物みたいにキーキー威嚇するビッチ先生。そんな彼女の目の前に寺坂君が進み出た。

「いいから、普段通り来いよ学校。何日もバックれてねーでよ」

「続き、気になってたんだよね。アラブの王族誑かして、戦争寸前だった話」

「来ないなら、先生に借りてた花男のフランス語版、借りパクしちゃうよ〜？」

「せっかくこれからビッチ先生に、好きな人をもっと魅了する技、聞こうと思ってたのになぁ？」

寺坂君と女子を皮切りに、口々に皆がビッチ先生に言葉をかける。彼女は驚いたように、困惑したように水色の瞳を震わせた。

「殺す寸前まで行ったのよ？あんた達のこと.....」

後悔が滲み出た声色。もう私達に合わせる顔がないなんて、ビッチ先生の考えている事が手に取るように分かる。そんな子供みたいな彼女の姿に、私達はクスリと笑った。