両思い。【磯貝悠馬】Part2 (ページ21)

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両思い90日目ページ21

「ふぅん、やっぱりこっちの動きは分かってるんだ。死神って言うより覗き魔だね」

「約束は守ったでしょう？！ビッチ先生さえ返してくれれば、それで終わりよ！」

カルマとメグちゃんが、天井へ大声で叫ぶ。恐らくこの部屋を監視しているであろう死神に向かって。だけど、待てども返事は返ってこない。その代わり

＿＿＿ｶﾞｺﾝ!!

「…っ、うわぁ？！」

重低音を響かせて、部屋全体がエレベーターのように下へと下がっていく。降りた先には檻で出来た分厚い壁と

「捕獲完了！こうやってまとめて捕獲するのが、1番リスクがない」

「「「「……ビッチ先生！！！」」」」」

相変わらず奇妙な笑顔を浮かべる死神が、折の向こう側に待っていた。そしてその奥に見えたのは、ロープで手を縛られ壁に括り付けられたビッチ先生の姿。やっぱり目は開いていなくて、意識を失っているようだ。

「っクソ！！」

焦ったように寺坂組男子達が、部屋の固い壁をガンガンと殴る。だけど、それが無意味であると嘲笑うように

「大丈夫。奴が大人しくくれば誰も殺らない」

死神は優しく語り掛けた。

「俺達が犯行的な態度をとったら、頭にきて殺したりは…？！」

追い詰められたように、まるで泣きそうな位に顔を歪めて、岡島くんが問い質す。完全に困惑状態の私達に死神は満足したよう微笑んだ。

「しないよ。子供だからってビビりすぎだろ」

だけど、それは全て私達なりの反抗。返事を聞いた岡島君が、ニヤリと片端の口角を吊り上げた。

「…いや、ちょっぴり安心した！」

「ここだ！空間のある音がした！」

少しだけ、死神が驚いたように目を見開いたと同時に、村松君がある場所を指さし竹林君に伝える。

「指向性爆薬…！」

「カプセル煙幕！」

竹林君考案の爆弾と、奥田ちゃん考案の煙幕。白い煙に包まれ死神の視覚を遮った隙に、爆弾によって作られた大穴を抜け全員が移動式監獄から脱出成功。

大量の煙が消え去った頃には、そこはもぬけの殻になっていた。

「へぇー。いいね、そう来なくっちゃ！」

一人残された死神は、楽しそうにその大穴を見つめた。