両思い。【磯貝悠馬】Part2 (ページ11)

今日:8 hit、昨日:46 hit、合計:17,457 hit

両思い80日目ページ11

「教えの答えは暗殺で返す。それがここの流儀だからな」

「約束するよ、殺せんせー。私達のこの力は、誰かを守る目的以外で使わないって」

感嘆の声が先生から漏れる。今回のことを通して、クラス全員の暗殺に対する意識が変わっているのがわかった。私もメグちゃん達の言葉に賛同するように両手を強く握る。

ボロボロになってしまった青い体操服は、私達が努力してきて、力をつけてきた証拠そのもの。
今度はこの服を着て、その力をより明確なものにしていきたい。

私達が決めた、大きな決意。きっと殺せんせーは全てを受け止めてくれるだろう。

「満点の答えです。私がここに来た頃は、教室の所々に淀んだ殺意があるだけだった。…それが今は敷地のどこにいても暖かい殺意で溢れている」

どこか遠くを見つめる殺せんせーの表情は、幸せそのもののような笑顔を浮かべていて。私も思わず皆と顔を見合わせて笑いあった。

「にしても、ほんとに凄いよなー、この服！」

「うん！こんなにガッチリした生地なのに全然重くないし…寧ろ体操服より動きやすい」

「自然にも馴染みそうな色してるよな！」

何となく流れていた緊張が解けて、前原君の言葉を筆頭に感想が口々にとび出てくる。今まで黙っていたものの、予想以上にかっこいい戦闘服に私達は完全に興奮冷めぬ状態だった。

「似合ってるじゃん、Aちゃん」

ぽん、と私の頭を叩いて現れたのは赤髪の彼。素直にお礼を伝えてカルマも似合ってるよ、と返せばまあね、なんて素っ気ない返事が返ってきた。

「そういえば、今回テスト2位だったんでしょ？流石だなぁ」

「もうあのタコに煽られんのはごめんだから」

以前のことを思い出したのか、顔を顰めて明らかにだるそうな雰囲気をだす。そんな彼が面白くて思わずクスリと笑ってしまった。

「てゆうか、俺今回頑張ったんだからご褒美くれない？」

「ご褒美？いちご煮オレ奢りとか？」

「それじゃあつまんねぇじゃん」

考え込む私の顔をぐいっと覗き込み、彼はイタズラに笑う。

「今度俺に1日付き合ってよ」

「え？……んー、でも、流石にそれは…」

好意を伝えられている相手と二人で会うのはあまり気が進まず、言い淀んでしまう。だけどそんな私を無視して

「友達と遊ぶのに迷う必要なんかないでしょ。じゃ、決まり。日はまた今度決めるって事で」

ひらりと手を振って校舎へと歩き出す。残された私はと言えば、親友と楽しげに話す悠馬へと視線を移した。