両思い。【磯貝悠馬】 (ページ6)

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番外編Part1～出会いと恋心～ページ6

約1時間後、完成したチーズケーキを目の前に少し疲れた俺と満足気な表情の店長がいた。

「流石磯貝君、飲み込みが早いよ。近いうちにお店にも並べられるんじゃないか？」

「そんな、店長のケーキに比べたらまだまだです。…でもそう言って頂けると嬉しいです、ありがとうございます！」

謙遜の言葉を述べたものの、内心はとても舞い上がっていた。自分的にも初めてにしてはよくできたと思うし、何より作るのが本当に楽しかったのだ。作業工程も、事細かに教えてくれる店長のアドバイスを聞くのも。

比べてみよう、そう言って店長は自分が先程焼いていたチーズケーキを持ってくる。2つのホールケーキの甘い心地よい匂いが鼻をくすぐった。

「うん、少し焦げはついているけど、見た目だって殆ど変わらない。上出来だよ」

店長の言った通り、並べられたそれは見た目にほとんど変わりは無い。だけど、肝心なのは味だ。

カットしてくれた内のその1つを、フォークで口に運ぶ。爽やかながらも濃厚な滑らかなチーズとクリームが口の中に広がった。

「あ、美味しい…」

思わずそう呟いた。そんな俺を見てふっと笑うと、店長も俺の作ったケーキを一欠片口に運ぶ。そのままゆっくり味わうと、次に自分の作ったケーキを口に含んだ。

しばしの沈黙が流れ、数秒後店長がフォークをお皿へ置く。何も言わない店長が気になって見上げれば

「初めてなのに本当によくできてる。今度から磯貝君に作ってもらおうかな？とっても美味しいよ」

本当に心から褒めてくれているように笑う店長に、思わず俺も笑顔になった。

「あ、磯貝さんケーキ出来たんですか？私にも食べさせてください！」

俺達の会話が聞こえたのか、ホールにいた後輩が駆け寄ってくる。どうやらお客さんは帰ったようで、少し暇をしていたようだ。

「んん、美味しいです！！磯貝さん、料理上手いんですね。私も見習いたいです…！」

パクリ、1口含んで笑顔を浮かべると、止まらないとでも言うようにそのまま元気に食べ進めだした。

「そういえば笹井ちゃん、彼氏へのスイーツ作り失敗したんだっけ？」

「店長、それ言わないでくださいよ。結構気にしてるんですから…」

からかうように言う店長に笹井さんはへらりと笑う。他愛もない話をしながら食べ進めていると

＿＿＿ｶﾗﾝ､

お客様の来店をベルが告げた。
不意に目を向けたその先には

椚ヶ丘の制服を身につけた、女子生徒2人がいた。