両思い。【磯貝悠馬】 (ページ33)

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両思い54日目ページ33

「えっと…あ、ここのお店だ」

学校終わり、私がやってきたのは駅の近くのショッピングモール。以前に磯貝君とのデートでも寄った場所である。

普段入ることの無いその店舗へ足を踏み入れれば、見慣れない物品から、いかにも足が早くなれそうなスニーカー、ユニフォームが所狭しと並んでいる。そう、私が来たのはスポーツ良品店。

なんで今このお店に来たかといえば、その理由はただ一つ。体育祭に向け、何か磯貝君にプレゼントできるものをと考えた次第だ。

「やっぱりスポーツタオルかなぁ。磯貝君、物を大切に使うから大量に持ってるってことは無さそうだし、仮にいっぱいあってもタオルなら困らないよね」

何をあげようと道中悩みに悩んだ彼へのプレゼント。

ミサンガとか、リストバンドとか、身につけるものも考えたけど、何だかずっと着けろというプレッシャーを与えてしまうような気がして、完全に想像だけど候補から削除。

そして結局、これからも暗殺訓練で使う機会がありそうな無難なタオルに決定した。

「わ、タオルっていってもいっぱいあるなあ…どうしよう」

店内の端っこの場所に設けられたスポーツタオルのコーナーに行けば、その種類の多さに少し圧倒される。機能性を重視するタオル、手触りを重視するタオル、デザイン性を重視するタオル。一口にタオルといっても様々で、プレゼントとなると中々に悩み所であった。

「青色、にしようかな」

何となく、自分の中で青色のイメージが彼にはあった。実際持ち物にも青の物は多いし、爽やかな彼の雰囲気にもピッタリだと思う。

しかし青のものと言ってもまだまだ候補は沢山ある。一つ一つ、手にとったり広げたりしながら1番あげたいと思えるものを探した。

「うーん、これもいいけど、こっちもいいなぁ」

そのまま悩む事15分。中々決まらないなぁ、とため息をついた時、ふと奥の棚につまれた青色が目に止まった。

青のベースに水色の線が下部に２本入ったシンプルなデザインのそれは、何でも吸水性に優れているらしい。手触りも暑苦しくないふわふわな心地で、普通のハンドタオルよりも少しだけ大きく作られたそれは、まさに私のイメージピッタリで。

「これに決めた！」

ルンルンでお会計を済ませ、タオルが入った紙袋を大事に持ちながら店を出る。夕日に染る道を歩きながら、彼の喜ぶ顔を想像して思わず笑みがこぼれた。