両思い44日目 ページ22
狭間さんは何でもないように淡々と話すけど、周りの私達はと言えばなんと返せばいいかわからず黙り込む。
気まずい空気が流れ、誰かなんか言えよ、なんて目線で責任を押し付けあっていると
「大変だねぇ、皆。ヘンテコな名前つけられて」
「「「「えぇっ」」」」
急に登場したカルマの一言。
思わずといった皆の声が重なった。…多分考えてる事は全員同じ。
「あぁ、俺？俺は結構気に入ってるよ、この名前。たまたま親のヘンテコセンスが子供にも遺伝したんだろうね」
あっけらかんと言い放つ彼に、皆がホッとしたように息を吐いた。
「先生も、名前については不満があります」
そんな中、不意に話に参加してきたのは黄色い超生物、殺せんせー。ていうか、その名前気に入ってなかったの？つけられた時あんなに嬉しそうだったのに。
「え、殺せんせーは気に入ってるだろ？茅野が着けたその名前」
杉野君が私と同じに質問を投げかける。にゅるりにゅるりと触手を動かし、殺せんせーは答えた。
「気に入ってるから不満なんです。未だ2名ほど、その名前で呼んでくれない人達が…」
そう言って殺せんせーは、教室の中のある人物達へじろりと視線を送る。
桃花ちゃんと話していたビッチ先生、磯貝君と話していた烏間先生が嫌な気配を感じとりギクリと肩をふるわせた。
「特に烏間先生なんて私を呼ぶ時、おい、とか、お前、とか！熟年夫婦じゃないんですから！」
うじうじと怒りいじける殺せんせーに
「だって、いい大人が、殺せんせー♡とか正直恥ずいし…」
ビッチ先生はぼそりと呟く。烏間先生に至っては呆れたため息をついていた。
「じゃあさ、いっその事コードネームで呼び合うって言うのはどう？」
「コードネーム？」
いじける殺せんせーを哀れに思ったのか、好奇心からか、不意に桃花ちゃんが一つの案を提案する。不思議そうに聞き返す磯貝君に、そう、と少し自慢げに頷いた。
「皆の名前をもう1つ新しく作るの。南の島であった殺し屋さん達さ、互いのこと、本名隠しあって呼んでたじゃん。なんかそういうの殺し屋っぽくてかっこよくない？」
ワクワクとした様子で話す桃花ちゃんに、いいじゃん、なんて同意の声がちらほら聞こえてくる。その様子を一瞥して、すっかりいじけから脱出した殺せんせーがいつもの笑顔を浮かべた。
「なるほど。いいですねぇ、やってみましょう。では皆さん席に1度着いてください」
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作者名：ангел | 作成日時：2021年5月2日 20時
