両思い129日目 ページ9
「やっと終わった……。皆仕事出来なくてごめんね」
「大丈夫だよ。それなりに食べてくれてったし、休憩行ってこいって」
倭さんを見送ってから皆の元へと急いで戻る。同じく接客をしていた杉野君に謝れば彼は大変そうだったな、なんて苦笑いを返された。
結局お言葉に甘えて、もう一度しっかり休憩を摂ることに。教室へ戻ろうと校舎に入ったその時だった。
「………っ」
後ろから右手を誰かに掴まれる感覚。振り返ればそこに居たのはなんだかいつもより険しい顔をし悠馬がいて。
「……ちょっといいか」
私の返事を聞く前に、ぐいっと手を引っ張って歩き出す。ギシギシといつもより大きな音で軋む廊下。連れていかれたの誰もいない理科室だった。
扉を閉めた彼は、何も言わない。
流れる沈黙がどうにも不安になって、恐る恐る彼の名前を呼んだ。
「……ごめん。急に引っ張って。痛くなかったか？」
「……うん、大丈夫」
そっか、と控えめに返事をして、彼はまた押黙る。
外からはクラスメイトが接客をする声が聞こえてきた。
「悠馬、仕事大丈夫？」
「あ、あぁ。あとまだ数十分は大丈夫」
「そっか」
彼が何かを話そうとしてるのはその所作から読み取れて。せめて話しやすい空気を、と思って話しかけるも話題はすぐに尽きてしまった。
「……あのさ」
しばらくして、ようやく決心したように彼が口を開く。やっと視線があった彼の瞳は、やっぱりどこかいつもと違っていた。
「あの人に、なんて言われたんだ？」
「あの人？……あ、倭さん？」
「……倭って言うのか」
誰を？とは聞かずとも、直ぐに誰のことかは検討がついて。名前で呼んでることを知ってまたさらに不機嫌そうになった。……なんだか少し可愛いかもしれない。
「沖縄で会った人なんだけど……なんか、わざわざ食べに来てくれたみたいで。でも美味しいって言ってくれて、いい人だったよ」
なるべく彼を怒らせないよう、当たり障りのない言葉を選んで話す。けれど不満そうにもう一度聞いてきた。
「距離、近かったし。それに……Aのこと、もっと知りたいとか言ってたよな」
会話がバレていたことに少し驚きながらも彼を見つめる。俯きがちに言う彼は、いつもの男らしさとはまた違う。なんだかまるで怒った子供みたいな、そんな雰囲気で。
「もしかして、嫉妬？？」
上擦理想になる声を抑えて問う。彼はぼっと顔を赤くした。
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こころ(プロフ) - 更新ありがとうございます¨̮♡ このシリーズが大好きで、何回も読み返させてもらってます！ これからも応援してます⚐ﾞ (4月9日 21時) (
レス) @page32 id: 48cae749d2 (このIDを非表示/違反報告)
めめはし(プロフ) - 切ない、、すごく面白いです！！更新頑張ってください！！応援してます(*^^*) (4月1日 3時) (レス) @page28 id: b5191071e5 (このIDを非表示/違反報告)
たに - 心情の描写が細かくて面白いです！！更新頑張ってください！ (3月1日 21時) (レス) @page28 id: 9b7538881a (このIDを非表示/違反報告)
ぽてち(プロフ) - 久々の更新待ってました！ (1月23日 0時) (レス) id: 0239a939e2 (このIDを非表示/違反報告)
misaki(プロフ) - ほんとに面白いです。続きが気になりすぎます！！更新楽しみに待ってます！ (1月3日 0時) (レス) id: 0665649a62 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ангел | 作成日時：2022年10月10日 18時
