両思い151日目 ページ31
その後、何とか悠馬が場をまとめ、演目は桃太郎に決定した。
発表会はもうすぐに差し迫っていた為、翌日から練習が行われている。普通の桃太郎じゃ面白くないと、脚本は狭間さんが務める事となった。
肝心の配役は、お婆さん役は神崎さん、お爺さん役は杉野君。
ナレーションは律で、鬼達は寺坂組、桃太郎のおともになるはずの3匹は前原君、岡島君、イトナ君が担当している。
ついでにメグちゃんと竹林君は弁護士役だ。……なんで弁護士がいるのとか、そこら辺は突っ込まないでおいて欲しい。
「Aちゃん達！ここで川の水よろしく！」
「はーい！」
殺せんせーが扮した桃が乗った台の後ろに身を潜める私とカエデちゃん。合図と同時に、台で隠されたハンドルを一緒にぐるぐると回す。すると
「おぉ、結構綺麗」
天井からサラサラと青い粒が流れてくる。段々と量を増して前へと流れ出て、舞台の真ん中で演技しているお爺さんとお婆さんの間に小さな川を作った。
「成功だな。いい感じじゃん」
小道具、美術担当の三村君と菅谷君が満足そうに笑う。やったね、と私も彼らに笑って見せた。
「よーし、それじゃあ今日の練習はここまで！皆、明日も頑張ろうな」
通し練習を終えて、悠馬が皆に声をかける。全員で撤収作業も終え、帰路に着いた。
今日も今日とて、一緒に帰るのはカエデちゃん。会話をしながら教室を出ていく私達を後ろから悠馬が見つめていたけれど、その視線には気付かないふりをしてそのまま出てきてしまった。
「磯貝君、今日ずっとAちゃんの事見てたね」
山道を下る最中。今さっきまで今日課題のことについて話していたはずなのに、なぜそうなったのだろう。カエデちゃんが私に語り掛けるように呟いた。
「片岡さんと一緒にいた理由は分かんないけど……でも、Aちゃんの事が本当に大事なんだなぁって私達でも分かるくらいだったんだもん。……仲直り、しないの？」
私が悠馬とすれ違い始めてからというもの、彼女は全くと行っていいほどにその話題には触れてこなかった。だから私もそれに甘えて、何も話してこなかったけれど。やっぱり優しい彼女は酷く気にしてくれていたらしい。
仲直りしたくない、わけじゃない。だけど、どうしても今は素直に接することが出来ない。
言葉に迷って口を噤んでいた私の頭に
「相変わらず暗い顔してんねー、Aちゃん」
誰かの手がぽん、と乗せられた。
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こころ(プロフ) - 更新ありがとうございます¨̮♡ このシリーズが大好きで、何回も読み返させてもらってます！ これからも応援してます⚐ﾞ (4月9日 21時) (
レス) @page32 id: 48cae749d2 (このIDを非表示/違反報告)
めめはし(プロフ) - 切ない、、すごく面白いです！！更新頑張ってください！！応援してます(*^^*) (4月1日 3時) (レス) @page28 id: b5191071e5 (このIDを非表示/違反報告)
たに - 心情の描写が細かくて面白いです！！更新頑張ってください！ (3月1日 21時) (レス) @page28 id: 9b7538881a (このIDを非表示/違反報告)
ぽてち(プロフ) - 久々の更新待ってました！ (1月23日 0時) (レス) id: 0239a939e2 (このIDを非表示/違反報告)
misaki(プロフ) - ほんとに面白いです。続きが気になりすぎます！！更新楽しみに待ってます！ (1月3日 0時) (レス) id: 0665649a62 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ангел | 作成日時：2022年10月10日 18時
