両思い148日目 ページ28
「私の教育は常に正しい。この10年あまりで、強い生徒を数多く輩出してきた。ですが貴方も今、私のシステムを認めた訳ですし、温情を持ってこのＥ組は継続させることとします」
でも、表情は変わらずとも。なんだか少しだけ、瞳に浮かんでいた霧が晴れたような気がする。E組の継続。その決定に、それぞれが近くの人と目を合わせ、静かに喜びを共有していた。
「ヌルフフフフ。相変わらず素直に負けを認めませんねぇ」
「それと、たまには私も殺りに来ていいですかね？」
「もちろんです。好敵手にはナイフが似合う」
対殺せんせー用ナイフを持った朝の理事長の笑顔は、いつになくすっきりしていて、清々しい。きっちりと結ばれた茶色のネクタイに、黄金の椚の葉がきらりと輝いていた。
＿＿＿＿＿
＿＿＿
浅野理事長が教室を去ってから。クラス全員で室内の清掃へと取り掛かる。数十分前まで、あんなに重い空気が充満していたのが嘘みたいに明るい雰囲気だった。
「ところで殺せんせー、テストのご褒美は？」
全員でやれば作業も早く、清掃は直ぐに終わりを迎える。パン、と両手を払った陽菜乃ちゃんがニコニコと殺せんせーに尋ねた。
「にゅ？そうそう！先生の決定的弱点を教える約束でしたね」
それはテスト前に、私達が殺せんせーと交していた約束。実は先生……と何故か照れ臭そうにボソボソと呟く殺せんせーに、全員が息を飲んでその続きをを待った。
「意外とパワーがないんです。スピードに特化しすぎていて、特に静止状態だと触手1本なら人間1人でも抑えられる」
「……つまり、皆で触手を全て抑えれば」
「先生の動きを止められる……？」
原さんと莉桜ちゃんの言葉に、また流れる沈黙。そして数秒後
「それが出来たら最初から苦労してねぇよ！！！」
岡島君の渾身のツッコミが炸裂した。足の触手を長く変化させ、うねうねと動かす殺せんせー。ひなたちゃんや村松君がわっとのしかかってみたけれど、結局ブラブラとまるでターザンのように遊ばれてしまっただけだった。
「てめぇ、不可能なのわかってて教えただろ！！」
「ウヌヌ、ダメですかねぇ。要領はあの、ヌタウナギを掴む感覚です」
「それを全員で抑えるって、無理ゲーじゃん！！」
顔を水色に変化させ、何処吹く風で口笛を吹く殺せんせー。完全に舐めきったその態度に呆れ笑いを零した。
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こころ(プロフ) - 更新ありがとうございます¨̮♡ このシリーズが大好きで、何回も読み返させてもらってます！ これからも応援してます⚐ﾞ (4月9日 21時) (
レス) @page32 id: 48cae749d2 (このIDを非表示/違反報告)
めめはし(プロフ) - 切ない、、すごく面白いです！！更新頑張ってください！！応援してます(*^^*) (4月1日 3時) (レス) @page28 id: b5191071e5 (このIDを非表示/違反報告)
たに - 心情の描写が細かくて面白いです！！更新頑張ってください！ (3月1日 21時) (レス) @page28 id: 9b7538881a (このIDを非表示/違反報告)
ぽてち(プロフ) - 久々の更新待ってました！ (1月23日 0時) (レス) id: 0239a939e2 (このIDを非表示/違反報告)
misaki(プロフ) - ほんとに面白いです。続きが気になりすぎます！！更新楽しみに待ってます！ (1月3日 0時) (レス) id: 0665649a62 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ангел | 作成日時：2022年10月10日 18時
