両思い145日目 ページ25
まさか、あの殺せんせーだよ？
そう思う反面、やっぱり心配は拭えない。暗殺成功はうれしい事なんだけれど、喜べはしないだろう。
先生は私達のターゲットなんだから。
「弱者は暗殺でしか強者を殺せないが、強者は好きな時に好きなように強者を殺せる。この真理を教える仕組みを全国にばら撒く。防衛省から得た金と、貴方を殺した賞金があれば、全国に我が系列校を作れるでしょう」
理事長にとって、この暗殺はあくまで自分の教育を広げるための小さなコマでしかない。まるで今までの私達全てを蔑まれているようだった。
未だベタベタに溶けた状態の黄色い触手が次の机へと近づいていく。置いてあるのは歴史の問題集だ。
「さあ、殺せんせー。私の教育の礎となってください」
どうか、お願い。縋るような視線を私達は殺せんせーに向ける。そしてついに、触手が問題集に触れた。
「＿＿＿。………え？」
声を漏らしたのはひなたちゃんだった。1秒、いや、もしかしたらそれより早かったかもしれない。
パサ、と問題集が音をたてたかと思ったら、次の瞬間には閉じられた表紙に付箋が貼られていた。
「第1次、世界大戦……」
三村くんが目を凝らして、付箋の文字を読み上げる。鋭い目を見開いて固まる理事長に、殺せんせーはいつものしてやったりな笑顔を見せつけた。
「はーい、開いて解いて、閉じました。この問題集シリーズ、ほぼほぼどのページにどの問題があるのか覚えています。数学だけ難関でした……生徒に長く貸していて忘れていたので」
あっ、と小さく声を上げたのは桃花ちゃんだ。ちらりと全員の視線が彼女に集まって、なんだか気まずそうに笑みを浮かべている。
「私が持ってきた問題集なのに……たまたま覚えていたとは」
表情は一ミリたりとも変えないものの、どこか動揺を滲ませた声で理事長が呟いた。彼にしてみれば、絶対的に自分が勝てると踏んだゲームを持ち込んだんだから、動揺するのも無理はないだろう。でも、こうなったらもう殺せんせーのペースに飲まれていくだけだ。
「まさか。日本中全ての問題集を覚えましたよ。問題が解けるまで爆弾の前から動けない。こんなルール、情熱がある教師ならクリア出来ます。貴方なら私をわかってくれていると思っていましたが……」
ニヤニヤ笑う殺せんせーだけど、一つだけ突っ込みたい。多分、幾ら情熱があっても先生以外には無理だと思うよ。
カエデちゃんと視線を合わせて乾いた笑いを零した。
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こころ(プロフ) - 更新ありがとうございます¨̮♡ このシリーズが大好きで、何回も読み返させてもらってます！ これからも応援してます⚐ﾞ (4月9日 21時) (
レス) @page32 id: 48cae749d2 (このIDを非表示/違反報告)
めめはし(プロフ) - 切ない、、すごく面白いです！！更新頑張ってください！！応援してます(*^^*) (4月1日 3時) (レス) @page28 id: b5191071e5 (このIDを非表示/違反報告)
たに - 心情の描写が細かくて面白いです！！更新頑張ってください！ (3月1日 21時) (レス) @page28 id: 9b7538881a (このIDを非表示/違反報告)
ぽてち(プロフ) - 久々の更新待ってました！ (1月23日 0時) (レス) id: 0239a939e2 (このIDを非表示/違反報告)
misaki(プロフ) - ほんとに面白いです。続きが気になりすぎます！！更新楽しみに待ってます！ (1月3日 0時) (レス) id: 0665649a62 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ангел | 作成日時：2022年10月10日 18時
