両思い136日目 ページ16
「磯貝？なんだよ、喧嘩でもしたのか？」
どうやら岡島君の場所からは彼の隣にいたメグちゃんが見えなかったよう。隣、とまた単語をつぶやく私に首を伸ばしてもう一度彼らを確認していた。
「片岡か。そういえば最近一緒にいる所をよく見るな」
「学級委員の仕事じゃないのか？」
いつの間にか私達の会話を聞いていたらしい菅谷君が当たり前のようにそう呟く。が、私もそう思ってたけど、と不自然に言葉を切った私に続きを促すように頷いた。
「学園祭の後片付けも落ち着いたし、殺せんせーに聞いたらもうテスト期間だから委員会での集まりはないって言ってたの。だけど……一緒に帰ろうって誘ったらやっぱり用事があるって断られちゃって」
「家が忙しいんじゃないか？磯貝の家、大変そうだし」
「帰り道、たまたま見かけたらメグちゃんと一緒に帰ってたの。もう2週間。そりゃあ毎日私とじゃ飽きちゃうかもしれないけど、さすがに落ち込んじゃうよね」
無理に笑って見せたけど、2人は困ったように顔を顰める。悠馬が浮気なんてする性格じゃない。それは私も、他のクラスメイトも普段の彼の態度から想像はつく。だけど、今回の事はそんな彼にしては珍しい振る舞いで、だからこそ困惑してしまった。
「でもきっと磯貝にもなにか理由があるんだろ。あんなに俺達に見せつけるくらいにラブラブだったんだから、間違っても片岡の事が好きなんてことないと思うぜ」
見せつけてないんだけど、なんて反論してみればよく言うぜ、とケラケラ笑う2人。そんな明るい表情と私を気遣った優しさにつられて、私もクスリと笑ってしまった。
「きっとすぐに瀬戸が恋しくなって戻ってくるに決まってる、大丈夫だろ……っいって！なんだよ、急に止まるなよー」
今日はやけにまともに相談に乗ってくれていた岡島君が、目の前を歩いていた竹林君の背中に激突する。私も危うくカルマの背中にぶつかるところだった。
おい、あいつ……菅谷君が人の間を塗って私達の真正面に立つ彼を見つめる。
E組全員の視線の先。
立っていたのは浅野君だった。
「…………何か用かよ。偵察に来るようなタマじゃないくせに」
浅野君はただ私達を見つめるだけで口を開かない。そんな彼に苛立ったように杉野君がトゲトゲしく言葉を吐いた。
「…………」
浅野君は何かを言おうとして、そして口を噤んで下を向く。それを何度か繰り返してしていた。いつものトップリーダーの彼じゃない、躊躇いを含んだ表情で。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 235人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
こころ(プロフ) - 更新ありがとうございます¨̮♡ このシリーズが大好きで、何回も読み返させてもらってます！ これからも応援してます⚐ﾞ (4月9日 21時) (
レス) @page32 id: 48cae749d2 (このIDを非表示/違反報告)
めめはし(プロフ) - 切ない、、すごく面白いです！！更新頑張ってください！！応援してます(*^^*) (4月1日 3時) (レス) @page28 id: b5191071e5 (このIDを非表示/違反報告)
たに - 心情の描写が細かくて面白いです！！更新頑張ってください！ (3月1日 21時) (レス) @page28 id: 9b7538881a (このIDを非表示/違反報告)
ぽてち(プロフ) - 久々の更新待ってました！ (1月23日 0時) (レス) id: 0239a939e2 (このIDを非表示/違反報告)
misaki(プロフ) - ほんとに面白いです。続きが気になりすぎます！！更新楽しみに待ってます！ (1月3日 0時) (レス) id: 0665649a62 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ангел | 作成日時：2022年10月10日 18時
