Onehundred-thirty seven ページ47
ミューフェス出演が決まったその翌日。久しぶりに今日はオフなので、自主練としてレッスン室へと向かっていた。
軽い足取りで鼻歌を歌いながら廊下を歩く。仕事があるのは嬉しいことだけど、休みに喜んでしまうのも正直な所。
しかし、そんなお日様気分は一瞬にして壊されることとなった。
「なぁ、ちょっと聞いて欲しいんだけど。……俺とそーちゃん、IDOLiSH7、抜ける。
他の事務所で、デビュー、すっから」
壮五さんは紡ちゃんとお話中らしいけれど、それ以外のメンバー勢揃いで練習に勤しんでいた皆。その事に安堵していた最中の、この衝撃発言である。
誰もがその言葉を理解することが出来なくて、環君をじっと見つめた。
「……え?……環、何言ってるの……?」
「もう、IDOLiSH7はやってられねーの」
「……本気なの?」
半笑いを浮かべた陸君が彼に問いかける。けれど帰ってくるのは冷たい言葉達ばかりで。小さく漏れ出た私の呟きにも、彼はただただ頷いた。
「俺とそーちゃんの2人をデビューさせてくれるって人がいるんだ。……俺はもっとテレビに映りたい。だから移る」
「……んだよ、それ」
環君が話し始めた時から、ぐっと何かをこらえるように俯いていた三月さん。絞り出した小さな声に、環君がなに?と聞き返す。
キッと彼を見据えたオレンジ色の瞳は、悲しみと、そして怒りに満ちていた。
「……なんだよそれ!!抜けるってどういうことだよ!」
「No!喧嘩ダメです!」
環君に詰め寄った三月さんを、ナギさんが必死で宥めている。他の3人も、その目には確かな憤りが存在しているように感じた。
「悪い……、ごめん、皆」
「ごめんじゃないだろ!?壮五もそう言ってるのか?違う事務所でデビューするって……!」
「……悪い!」
「本気なのかよ……!」
三月さんの声は、どんどんと悲痛な声に変わっていく。騒ぎに勘づいたのか、どうしたんですか!?と慌てた紡ちゃんが乱暴に扉を開けて入ってきた。
その後ろから壮五さんも走ってくる。環君に掴みかかる三月さんを見て、状況を理解したのか彼の顔が焦りと動揺に支配されていった。
「……まさか……もう皆に話したのか!?」
「謝らなきゃって、思って……」
「ば、馬鹿!どうして先走るんだ!物事には順序があるだろう……」
三月さんの間に入り込むようにして、今度は壮五さんが環君に詰寄る。私達は何も言えず、ただ呆然と見つめることしか出来なかった。
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なのは(プロフ) - 更新楽しいです! (2022年3月1日 3時) (レス) id: 60efdb9fc8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ангел | 作成日時:2022年2月20日 22時