新人アイドルの恋事情 3th (ページ46)

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Onehundred-thirty six ページ46

新人アイドルのプライベートを覗き見、というテーマで始まった雑誌撮影。普段着や部屋着などガチガチに決まった衣装以外の撮影もあって少しだけドキドキだ。

「Aちゃんいいねぇ！次、休憩挟んでこの衣装ね」

ハンガーにかけられた衣装を手渡され、挨拶をして1度楽屋へと戻る。ヘアセットも変えなきゃだから、時間に余裕があるとはいえ少し急がないと。

そう思って小走りで楽屋へと向かっていた、その時。

「よう、久しぶりだな」

ふと後ろから低く男らしい声に呼び止められる。最近知り合った、聞き覚えのある声。

「八乙女さん！お久しぶりです」

「仕事か？最近よく見るよな」

「はい！今日は雑誌撮影で。八乙女さんは？」

「俺は終わったとこだ。今から帰りだよ」

抱かれたい男No.1がキラキラオーラを振りまいてそこに立っていた。
腰に手を当てて微笑む様は、オフモードだというのにモデルのように決まっている。

「聞いたぞ、デビューライブ。大成功だったんだってな」

「有難いことに……無事に終わって良かったです」

「天も褒めてたぞ。やるじゃないか」

まるでお兄ちゃんの様に、頑張ったな、と目尻を下げる。取っ付きやすいその雰囲気に何だかくすぐったい気分だ。

「ありがとうございます！そういえば、ミューフェスの出演も決まったんです！TRIGGERさんも決まってましたよね？」

以前からテレビの告知でTRIGGERなどの有名アイドルの出演は先に発表されていた。共通の話題を、と思って出してみたけれど、あぁ！と楽しそうな彼の反応をみる限り正解だったようだ。

「また共演か。よろしくな。天にも伝えとくよ」

「はい！こちらこそよろしくお願いします……って、なんで尽く天君出してくるんですか」

「だってお前ら仲良いだろ。天もお前のこと気に入ってるし」

当然のように言い放つ八乙女さんに苦笑い。

「そういえば龍もいい子だったって褒めてたぞ」って付け足して笑う彼に嬉しい限りです、と笑って見せる。

そのままそうだ、となにか思いついたように声を漏らし私の手からスマホを抜き取った。

「何かあったら相談に乗ってやるよ。天のお気に入りってことで特別にな。俺も期待してるし」

最後まで兄貴肌な彼が、ひらりと手を振って歩いていく。
ぽすん、返されたスマホの画面にはラビチャに仲間入りした八乙女楽、の文字。

「あ、ありがとうございます！お疲れ様です！」

慌てて去っていく背中にお礼を告げて、私も楽屋へ歩き出した。