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Ninety-six ページ5

「長居してしまってすみません……それにお菓子も、ありがとうございます!改めて本日はよろしくお願い致します」


20分程たった頃。お誘い頂いたとはいえ先輩の楽屋にあまり長時間とどまる訳にも行かず退室を切り出せば、八乙女さんは俺らが話したかったんだから気にするな、と明るく笑う。どこまでも優しいお気遣いに有り難さを覚えながら、十さんが持たせてくれた紙袋を持ち直した。

残ってても食べないから、と結局差し入れのクッキーをほとんど私にと詰めてくれた彼。TRIGGERさんはとことん男前な人達である。


また話そうね、と優しい声を受けながら、もう一度礼をして楽屋を出る。扉を閉めて何気なくふう、と息を吐いた時、閉めたはずの扉がまたガチャリと開いた。


「あれ、天君。どうしたの?」


私の方へと向き直った彼にそう問えば、少しだけ流れる沈黙。数秒間の間が空いて、彼が漸く口を開いた。


「陸の容体は?」


投げかけられた質問に、あぁ、と1人心の中で納得。あの時私にLINEをして返信はくれなかったものの、どうやらずっと気がかりだったみたいだ。


「もう大丈夫だよ。すっかり元気で今日はレッスンに励んでる。メンバーの皆とも打ち解けてさらに自信がついたみたい」


良かったね、と笑いながら告げれば別に心配してないから、とそっぽを向く。陸君の前では絶対隠すだろうけど、彼は大分ツンデレさんなようだ。


「ライブは最後までできたの?」

「うん。2時間以上頑張ってたよ。アンコールにも何回も答えてた」


立派だったんだからね、と胸を張って見せれば、なんでAが威張るの、なんて鋭いツッコミを容れられてしまう。さっき笑いかけてくれた優しい天君はどこに行ってしまったのだ。


「これからも甘えた覚悟見せるようならボクは認めないって、あの子に伝えておいて」


それじゃあAも今日頑張ってね、なんて最後にエールを残し彼は再び楽屋へと戻ってしまう。素直じゃないなぁ、なんて苦笑していると、廊下の奥から流川さんがパタパタと歩いてきた。


「話し終わったの?ってなにそれ」

「貰っちゃった。後で食べよ、クッキー」

「……Aって人の懐に入り込むの得意だよね」

「えっ、これ貰うのが目的だったわけじゃないよ!?」

「分かってるよ。良くしてもらえて有難いね」


早々に紙袋に目をつけた彼が目ざとく聞いてくる。自分も食べれると知りなんだかんだ嬉しそうな流川さんに少し呆れながら、私達は収録へと向かったのだった。

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作品ジャンル:アニメ
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なのは(プロフ) - 更新楽しいです! (2022年3月1日 3時) (レス) id: 60efdb9fc8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ангел | 作成日時:2022年2月20日 22時

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