新人アイドルの恋事情 3th (ページ24)

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Onehundred-fifteen ページ24

「……後1分で、野外ライブチケットの予約時刻……」

それぞれライブとデビューが決まってから、数週間後。小鳥遊事務所総動員で事務所に集まった中、真ん中でパソコンに念を送る紡ちゃん。

本日はIDOLiSH7の皆の野外ライブのチケット発売日。……そしてそれと同時に、私のデビューライブのチケット発売日でもある。ちなみに時間は私の方は開始は1時間後。なんとも微妙な違いである。

「完売しますように……完売しますように……完売しますように……」

「マネージャーが凄い顔で念を送ってる……」

今の紡ちゃんの顔は、深いシワを眉間に刻んで画面とにらめっこ。いつもの可愛らしい彼女はどこへやらである。

「オレも凄い緊張してきた……」

「だめだよ。君の病気にストレスは良くないんだから……」

「そういうソウだって、顔が強張りまくってるぞ」

メンバーの皆も落ち着かない様子で紡ちゃんを囲んでいる。自分の事も控えているとはいえ、今は私もIDOLiSH7の行方が気になってドキドキだ。

しかし、そんな中でもにっこりゆったりいつも通りな男が1人。

「あはは！のんびり構えてなさい。どんな結果でも君たちは最高だよ。

……よし！じゃあ今日中に完売したら焼肉を奢ろう！」

「焼肉！？」

「いいんですか！？鮭丼やトンカツ弁当超えていきなり焼肉で！？」

社長の言葉に、早くも歓喜の声を上げる環君と嬉しそうな三月さん。その盛り上がりように社長はさらに愉快そうに笑った。

「いいよ。いいお肉を皆で食べよう。その代わり、IDOLiSH7だけじゃなくAくんのデビューライブも完売したらね」

あっけらかんと言い放たれた言葉に、流れる沈黙。皆の期待の籠った視線を感じて、数秒後。

「……ちょっと、社長！？！？何私のプレッシャー増やしまくってるんですか！？」

「大丈夫大丈夫。いいお店選ぶから！！」

「そーじゃなくて！！！大体……！！」

こっちがどんな思いで、なんて反論しようとした、その時。紡ちゃんと同じくパソコンとにらめっこしていた万理さんが勢いよく顔を上げた。

「……完売しました……」

「は……？」

彼の口から放たれた言葉に、さっきまで余裕そうにしていた社長が情けない声を漏らす。ぽかんと見つめる全員の視線を受け、再び万理さんが口を開いた。

「か……。……開始3分で完売です……」

「「嘘！？」」

今度は陸君と一織君の信じられないと言った声が重なった。