新人アイドルの恋事情 3th (ページ23)

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Onehundred-fourteen ページ23

「おめでとう！！本っ当におめでとう！！」

ブンブンと勢いよく手を振りながら、大声でお祝いしてくれる百さん。お礼を告げながらも段々と痛くなってくる腕に困っていれば、百、落ち着いて、なんて千さんのフォローが入った。ありがたい限りである。

「そっか、デビュー決まったんだ！なんか俺まで嬉しいよ……！」

「緊張するでしょう。大丈夫？」

にっこにこな百さんと、心配してくださる千さん。「昨日までは不安ばっかだったんですけど、今はやる気満々です！」なんてガッツポーズをして答えれば、なら安心だね、なんて大人っぽく微笑んだ。

「ライブとかもするの？」

「はい！東京つつじホールで、デビューライブです！」

「つつじホール！？5000人くらい入る場所だよね！？」

さっきと同じ、また目を見開いて驚く百さん。コロコロと変わる表情がなんだか子供みたいでちょっと可愛らしい。

「そうなんです。社長達が期待を込めてって用意してくださって……」

「2ヶ月後か……百ちゃん、見に行っちゃおうかな？」

「忘れたのか？その頃僕らもライブ控えてるけど」

「ハッ！そうだった！……百ちゃん残念……」

いいこと思いついちゃった！なんてウキウキした様子だった百さんだけど、千さんの言葉にあえなく撃沈。ズーン、と目に見えて落ち込む彼にお気持ちだけで凄く嬉しいです！とお礼を伝えた。

ふと、後ろから流川さんの私を呼ぶ声。無断で出てきちゃったけれど、そろそろ戻らななければ。

「お祝いして下さってありがとうございます！私、頑張りますね！」

「うん！Aちゃんの晴れ舞台、期待してるね！」

「いい報告を待ってるよ」

最後に声援を受け、お辞儀をしてから流川さんの元へと走る。そんな私の後ろ姿をRe:valeさん達は笑顔で見守っていた。

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「デビューかぁ……嬉しいね、ユキ」

「そうだな」

後輩からの嬉しい報告。嬉しさを隠しきれない様子で語っていた彼女を、心から応援したいと思った。

「……Aちゃん、大丈夫かな？」

「どうだろうね。デビューライブを乗り越えたとしても、その後でぶち当たって沈んじゃうかも」

「その時は百ちゃんの出番だね！先輩としてしっかり支えてあげなくちゃ！」

「……ただの先輩としてか？」

「大事な後輩だからね」

「……そう」

ユキはどこか納得してないような、そんな表情をしていたけれど。

大事な後輩。……きっとこの言葉に、嘘は無いはずだ。