新人アイドルの恋事情 3th (ページ16)

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Onehundred-seven ページ16

「ただ今帰りました」

寮の中へ声をかける壮五さんに続いて、私も中へと入る。「そーちゃんおかえりー」なんて、間延びした返事が聞こえたと思ったら。

「名無しじゃん。やっほー」

頭の後ろで手を組んだ環君のご登場。のんびりとした彼に私もやっほー、と手を振った。

「なんで名無しいんの？用事？」

「ううん。帰り道で壮五さんに誘ってもらったんだ。今日はお祝いなの？」

「そ。野外ライブ決定のお祝い。みっきーがビーフシチュー作ってくれてんの。早く皆んとこいこ！」

お腹が減ってるのか、ウキウキとした様子でリビングへ向かう環君。急だけど大丈夫かな？と途中でこっそり壮五さんに聞いたら、僕が誘ったんだから気にしないで、と笑われてしまった。

「皆ー！そーちゃん帰ってきた！あと名無しも来た！」

「おぉ、壮五おかえり！」

「よ、お二人さん」

「A！どうしたの？誰かに用事？」

大きなお鍋を混ぜ混ぜしながら迎えてくれる三月さんに続いて、ソファで寛ぐ大和さんと環君と全く一緒のことを聞いてくる陸君。

それがなんだか少し面白くて笑いが零れる。

「帰り道で会ったんだけど、今日は寮でライブ決定のお祝いするからって誘ってもらって。三月さん、大丈夫でしたか？」

「大丈夫大丈夫！食い盛りのヤツらがいるからたーっくさん作ってっから！たっぷり食べてけよ」

ハーイ、と手を振ってくるナギさんに振り返しながら三月さんに確認を取れば、屈託のない笑顔で歓迎してくれる。ありがとうございます、とお礼を伝えてこちらにどうぞ、と席を用意してくれた一織君の方へと向かった。

「せっかくなら2人でまだ話してくりゃ良かったのに」

「……約束してましたし、Aちゃんが来たら陸君や環君が喜ぶと思ったので」

「本心は？」

「……もう少し、って気持ちも無くはないですね」

「素直でよろしい」

壮五さんは大和さんと何やらお話中。ご飯食べたらゲームしよ！と誘ってくれる環君の声で内容は聞こえなかったけれど、大和さんがニヤニヤ笑みを浮かべているからなんか変な事なのかな。

「A、お疲れ様！」

「陸君も一日お疲れ様」

コップを片手にやってきたのは陸君。楽しそうにお誕生日席に座らされた私の右斜め前の椅子に腰を下ろした。続いて一織君も陸君の隣に腰を下ろす。ちなみに左斜めの椅子は環君が座ってます。

料理の準備に取り掛かる大人組とナギさんには申し訳ないが、年少組と陸君と私の雑談が始まった。